台湾の韓国瑜(かんこくゆ)高雄市長に対し、6月6日、解職請求(リコール)投票が行われた。
▼投票結果は、賛成票が有権者の4分の1を大きく超えるもので、リコールが成立。票数を書く紙幅がないが、賛否の差は圧倒的であった。韓氏は、今年1月の台湾総統選挙に国民党から立候補したが、現職で民進党の蔡英文氏に敗れている。
▼小欄の筆者は、高雄市民の示した民意を、大いに評価したい。背景についての論評は控えるが、注目すべきは、直轄都市である高雄市で「親中派」の現職市長を地元市民が罷免した点である。
▼政治家の「親中」とは、単に「中国に親しみをもつ」ことではない。中国共産党の要人と密接な関係にあり、「その関係を生かせば自国に有益である」と自分では思っているが、実はそれ以上に、中共に利用されており、自国の国益を損ね、ひいては自国を危険にさらす政治家をいうのだ。
▼1972年、田中角栄首相が日中国交正常化を成し遂げた頃は、まだ中国も「日本の進んだ科学技術を学びたい」などと、しおらしかった。当時は日本に「良いところ」ばかりを見せた。なにしろ日本からの訪中団が、涙を流して感激するほどの「熱烈歓迎」である。田中首相と周恩来総理が毛筆で署名する光景に、当時の日本人は、甘美な幻想を見ていた。
▼その角栄さんの残像が、まだ影響するのか。「国家安全法」という、悪魔に刃物を持たせるような法律の香港への適用に、日本政府が、及び腰では情けない。政治家の「親中」は国を亡ぼす。国会議員にリコールはないが、そういう人はお辞めいただきたい。
【紀元曙光】2020年6月9日
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