アングル:トランプ氏TikTok「分け前」要求、法的に可能か

[ワシントン 4日 ロイター] – トランプ米大統領が中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に迫っている米国事業売却に関して、自ら前代未聞の要求を突き付けた。売却益の「分け前」を米政府が得るべきだというのだ。この主張は米国の法律の解釈に基づくとも言えるが、法律専門家らは正当性に異議が唱えられる可能性を指摘する。

外国からの投資が米国の安全保障を脅かすかどうかを審査する対米外国投資委員会(CFIUS)はバイトダンスに対し、米マイクロソフトへのティックトックの一部事業売却交渉に9月15日までの猶予を与えた。中国の親会社の監督下でティックトックが扱う個人データの安全性への懸念などが理由だ。

マイクロソフトはティックトックの北米、オーストラリア、ニュージーランドの事業資産の買収を求めていると表明している。支払うつもりのある金額は明らかにしていないが、関係筋が以前ロイターに語ったところによると、バイトダンス幹部はティックトック事業全体の価値を500億ドル超としていた。

トランプ氏は3日、記者団に「(マイクロソフトへの売却額の)かなりの部分は米財務省に収められるべきだろう。我々がこの案件を可能にするのだから」と語った。

 

法律専門家によると、CFIUSの立法規定は米政府に対し、国益を脅かす企業にリスク低減を要求する広範な権限を与えている。

CFIUSはこれまで、命令した売却からの利益の一部を支払うよう求めたことは一度もない。しかし、何人かの法律専門家によれば、ホワイトハウスは今回、バイトダンスに手数料を課すのは、そうでなければ技術面で中国政府への支援に使われたであろう資源から一部を剥奪することだと主張する可能性がある。そうした中国政府への支援は米国の国益に有害な恐れがあるという理由だ。

クリアリー・ゴットリーブの規制法専門家、ポール・マーカート氏は「米議会の意図にも間違いなくそぐわない。CFIUSが政治とは無縁で安全保障の見地にのみ基づいて行動するという名声を維持する上で、長期的な阻害要因になるのも明白だ」と指摘。ただ、トランプ氏の今回の主張が大統領の法定権限を逸脱しているかは「はっきりしない」とも述べた。

ホワイトハウス、米財務省、バイトダンス、マイクロソフトはいずれもコメント要請に即座に応じていない。

安全保障上の理由から大統領が案件阻止を決めることについて、米国の法律は法的検討の対象にはならないと規定している。しかし専門家によると、合衆国憲法修正第5条などは米政府が資産没収を補償なしに行うのを禁じており、それに基づけば、そうした大統領の行為に法的に異議を申し立てるのは可能だ。

専門家によると、CFIUSの命令に対して修正第5条を根拠に異議を唱えても、これまでの成功は限定的だった。今回、買収案件の手数料を課そうとする米政府に法的な異議を提起することができれば、初めてのケースになるという。

一方、DLAパイパーの法律専門家、ニコラス・クライン氏は「これは海外腐敗行為防止法の援用に相似する」と指摘した上で、「米国内で、規制当局からの事業買収などの承認のために米政府は賄賂と同等のものを要求できるはずだ」とも指摘している。

トランプ氏がティックトックの事業売却益の分け前要求に成功するかどうかは明らかではない。国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は4日のFOXビジネス・ニュースで「こうした特有の考え方が履行されるかどうか確信は持てない」と述べた。

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