韓国海洋警察庁「北朝鮮が射殺の男性は亡命希望」 親族は反論

[ソウル 29日 ロイター] – 北朝鮮軍が南北境界線付近の海域で韓国漁業当局の男性を射殺した事件で、韓国海洋警察庁は29日、この男性が北朝鮮兵士に亡命の意向を伝えていたとの見解を示した。

監視カメラの映像、軍の情報、経歴を基に判断したとしている。

同庁の高官は「北朝鮮側が男性しか知り得ない個人情報を把握していたことを確認した。名前、年齢、出身地、身長などだ。男性が北朝鮮に行く意思を伝えていたことも確認した」と発言。

男性は救命胴衣を身に着けており、誤って海に転落した可能性や自殺した可能性は「極めて低い」という。

同庁の高官は、男性には5800万ウォン(4万9600ドル)以上の借金があったが、借金を理由に亡命を希望したかはまだ明らかでないと述べた。

<親族は反論>

これに対し、男性の親族は会見で、男性には亡命する理由はなかったと主張。男性は自分の仕事に誇りを持っており、新しい船も入手したばかりで、亡命の際に役に立つ政府の身分証明書も持参しなかったと主張した。

男性の親族は、南北の軍は互いに盗聴を行っており、北朝鮮が音声を操作した可能性があると指摘。

「大半の年配男性は借金があり、家族の問題を抱えているが、それだけの理由で北朝鮮に亡命するだろうか」と述べた。

また、この親族は政府と軍の初動が遅れたとも批判。船舶やヘリコプターによる捜索の拡大を要請したものの、9月21-22日に出動したのは船舶数隻とヘリコプター1台だったと述べた。男性は21日に行方が分からなくなり、翌日に射殺された。

韓国の海洋警察庁と海軍は今週、捜索態勢を強化した。

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