中国共産党(中共)は日本の放射性処理水の放出に関して反日感情を煽る動きを見せたが、それが原因となり、中国メディアは中国の日本料理店の食材産地が日本でなく中国国内であることを公に認める事態となった写真はイメージ画像(STR/AFP via Getty Images)

中国、「遠洋漁団」による乱獲を容認 漁師を海上民兵に=豪研究所がレポート

オーストラリアの独立系研究所「Future Directions International」が10月13日に発表した分析レポートは、中国漁船は法律のグレーゾーンや各国の排他的経済水域で世界最大規模の「違法、無報告、無規制(IUU)」漁業を行っていると指摘し、影響力拡張や戦略的利益を得るために、大量の漁師を軍隊と連動する「海上民兵」として採用していると明らかにした。

中国は世界最大のIUU漁業に従事している

世界食料および水危機研究プログラムのマネージャーであるMervyn Piesse氏によって作成された報告書は、1980年代以降、中国の水域は過剰漁獲により魚資源の少なくとも30%は完全に衰退、20%は過剰の利用というダメージを受けているため、その沿岸漁業は養殖や遠洋漁業へと移行した」と指摘した。

また、同報告書は「中国によるIUU漁業は単なる環境問題に止まらず、食糧安全保障、雇用、国家の発展への脅威にもなっている」と警告した。

中国は世界最大の遠洋漁船団を組織しており、通常その数は1600〜3400隻と推定される。ただし、これは中国の旗を掲げている船のみの数であり、他国の中国船や中国企業との合弁事業の船などは同統計に入っていない。

英シンクタンク、海外開発研究所(ODI)が2020年6月に実施した調査によると、中国の遠洋漁船団の規模は「1万6966隻」と、当初考えられていた規模の5~8倍になる可能性があるという。

 

「監督体制が充実していない」海域での違法漁業

 

莫大な利益に駆られた中国の利益集団は、世界最大規模の「遠洋漁船団」を運営し、監督体制が完備していない世界中の海域で、違法漁業に従事している。

世界のIUU漁獲量の約5分の1は西アフリカの6カ国によるもので、多くの中国漁船もこれらの海域で不審な漁業活動を行っている。

人工衛星データなどを使って世界の密漁活動を監視する国際非営利団体「グローバル・フィッシング・ウオッチ(GFW)」は、「2017年、北朝鮮の漁業権の取引きを禁止する国連の制裁決議が採択された後でも、中国の漁船は北朝鮮水域内で操業活動を続けている。昨年1年間で少なくとも800隻を超える中国漁船が確認された」とした。「中国は国際ルールに違反している可能性が高い」と指摘した。

エクアドル海軍は6月、ガラパゴス諸島付近の国際海域を航行する中国漁船が340隻以上あり、うち149隻は当局の追跡を防ぐためにGPSシステムをオフにしていると報告した。

海洋自然保護団体「オーシャナ」(Oceana)の分析も、「数百隻の中国漁船は1カ月間に7万3000時間も同地域で操業活動を行い、アザラシやハンマーヘッドシャークなどの種を危険にさらしている。さらに、同地域の食物連鎖を破壊し、地元漁業資源減少の一因となる可能性もある」と指摘した。

2017年にもガラパゴス海洋保護区で、絶滅危惧種を含む270トンの漁獲量を積んだ中国漁船が拿捕された。

「中国の破壊を止める時が来た」とポンペオ米国務長官は今年8月、エクアドルへの支持を表明し、北京に持続不可能なIUU違法漁業を停止するよう要求した。

エクアドル海軍によると、長年、エクアドルの排他的経済水域付近を徘徊していた中国漁船は、今年9月下旬にペルーとチリの水域へ向かったと報じた。

 

中国共産党(以下、中共)は戦略的利益実現のために艦隊の一部を軍事化

 

中国の漁船団は単なる商業問題だけではなく、北京の権力の投影でもあり、また、戦略的優位性を競う役割も果たしている。

何十年もの間、中共は大量の漁民を募り、彼らに対し「後方支援、情報収集、監視、偵察・妨害工作」などの軍事訓練や政治教育を行い、巨大な「海上民兵」組織を編成した。

同組織は、海洋における中国の国益促進や南シナ海および東シナ海における中国政府の戦略的目的のために動員、または軍隊と連動して展開する「第3の海上戦力」と呼ばれている。

報告書では、中共の「海上民兵」組織の正確な規模の把握は困難であると述べた。

中国政府系英字紙、チャイナデイリーは2016年2月、中国当局は地元の漁師で構成された「海上民兵」の戦闘能力の向上に力を入れていると報じた。それによると、14年に4回、15年には7回もの海軍演習を行ったほか、3年間で250回以上の海上作戦を行ったという。

報告書は米「ナショナル・インタレスト」誌の報道を引用して、長年グレーゾーンの間で操業する中共の「海上民兵」を「硝煙のない戦争」と形容した。

海上民兵隊は現在、東シナ海や南シナ海で活動し、インドネシア海域での違法漁業の関与も告発されており、この「第3の勢力」は世界から非難の的となっている。

同報告書は「中共の海軍作戦地域の継続的な拡大に伴い、海上民兵隊はさらに遠くまでその活動を展開する可能性がある」と警告し、「増え続ける魚類への需要やその野心を支えるために、北京は今後もその遠洋漁団を容認し続ける可能性がある」と指摘した。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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