米国務省、研究機関に外国資金の開示要求 中ロの影響力に警戒
米マイク・ポンペオ国務長官は10月13日、中国やロシアなどの組織と関係を維持する国内学術機関やシンクタンクに警告を発した。長官は、「一部の外国政府は、ロビイストや外部専門家などを通じて、米国の外交政策に影響力を行使しようとしている」と、同日に発表した声明に書いた。
ポンペオ氏は今後、国務省との協力を希望するシンクタンクや他の外交政策機関は、国有企業とその子会社を含む外国政府から受け取った資金をウェブサイト上で「目立つように」開示するよう要請している。また、国務省は「開示する具体的な資金源に留意している」という。
国務省に公表された声明は「経済・個人の自由、平等な市民権、法の支配、真の市民社会についての自由で開かれた対話を促進するための米国の努力が、いつの日か中国やロシアなどの国々で可能になることを望む」としている。
米トランプ政権は、教育や研究機関における中国の影響力を排除する試みを続けている。
ポンペオ長官と教育省は13日までに、全米50州の教育当局や大学に、中国政府が管理する語学教育施設・孔子学院を通じた中国共産党の影響力に警戒するよう呼びかける書簡を送った。国務省は8月、同学院は「政治宣伝工作に使用されている」として外国公館に指定すると発表し、ポンペオ長官は年内までに全館閉鎖すると述べている。
教育省は5月にも、下院監視改革委員会への報告のなかで、教育機関が受ける外国資金の流れの不透明さには問題があると指摘した。「大学が敵対国家からの資金に依存することは、国家安全保障上のリスクにつながる」と書いている。
教育省によると、ハーバード大学やニューヨーク大学など名門校6校は2015年以降、中国、カタール、サウジアラビア、イラン、ロシアから数千万ドルから数億ドルの贈答品や契約を受け入れている。
米メディアのワシントン・フリー・ビーコンは8月14日、米データーベースおよび連邦裁判所の文書を引用して、ワシントンの有名シンクタンク・ブルッキングス研究所と過去に提携関係にあった上海社会科学院は、中国当局の諜報活動およびスパイ採用の最前線にいると報じた。
報道によると、国防総省で以前中国担当を務めた高官ジョセフ・ボスコ氏は、ブルッキングス研究所のような有力シンクタンクは「米国政府の内部関係者へのアクセスを提供でき、中国当局の諜報部にとっては魅力的だ」と語っている。
実際、2017年にスパイの罪で懲役20年の罪が下った中央情報局(CIA)元職員ケビン・ マロリー(Kevin Mallory)氏は、上海社会科学院の諜報員にスカウトされたことが、裁判の証言で明らかになっている。ブルッキングス研究所の広報によれば、すでに上海社会科学院との関係は終了しているという。
中国政府は、外交部(外務省に相当)の予算よりも多くの資金を投じて、海外での影響力拡大を続けている。ワシントン拠点のシンクタンク・ジェームズタウン財団は9月17日発表の報告の中で、中国共産党中央委員会のプロパガンダ推進計画「大外宣」を主導・運営する統一戦線工作部の予算は、外交部よりも多いと指摘した。
(編集・佐渡道世)