【紀元曙光】2021年1月15日
李登輝氏がご存命であったなら、この日、満年齢で98歳を迎えていた。
▼お生まれは1923年。数え年ならば白寿のお祝いをすべきところだが、それも今はかなわない。昨年7月30日に鬼籍に入られた東洋一の哲人政治家は、今日の世界を、天国からどのようにご覧になっているだろう。李登輝氏の大いなる業績を小欄に載せられるはずもないが、ただ同氏が愛した台湾と日本についてぼんやり考えていたら、筆者の頭に、いくつかの点がつながってきた。
▼1918年4月、当時日本の統治下にあった台湾で大相撲の巡業がおこなわれた。このとき、力士3人が原因不明の感染症で急死する。同年5月の夏場所では、高熱などにより全休する力士が続出した。日本における、スペイン風邪流行の始まりとみられる。10月から大流行が始まり、当時の日本の人口5500万人のうち2380万人が感染。39万人が死亡した。
▼視点を変える。その前年である1917年、ユリウス暦でいう10月25日に、ロシアのペトログラード(現在のサンクトペテルブルグ)で労働者や兵士の武装蜂起が起きた。もちろん自然発生ではなく、共産主義者による扇動があった。これが後に、十月革命と呼ばれる革命の発端となる。結論を急いで書くならば、それを契機として1922年にソビエト社会主義共和国連邦が誕生する。
▼つまりソ連は、世界全体の推定死亡者数が最大で1億人とも言われる、インフルエンザ・パンデミックの大病禍なかで生まれたのである。
▼スペイン風邪とソ連。新型コロナと中共。並べてみただけで、他意はない。
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