尖閣諸島周辺で外国漁船に対応する海上保安庁巡視船。参考写真、2012年撮影(GettyImages)

護る会、尖閣周辺の日米共同演習を政府に要望 中国海警法施行を受けて

2月1日、中国は外国船舶に対して武器の使用を認めることなどを盛り込んだ「海警法」を施行した。衆参両院の自民党議員からなる「日本の尊厳と国益を護る会(護る会)」は2日、岸防衛相に対して、定期的な日米共同演習の実施や、自衛隊と在沖米軍との合同連絡本部を那覇に設置することを求める要望書を提出した。

海警法施行により、沖縄県の尖閣諸島周辺における中国公船の動きがますます活発になり、日本の主権に対する挑戦と圧力が強まると予想されている。64名の議員が加盟する護る会は、こうした懸念に対して日本当局に早急に対応を求める。

護る会は、菅首相に対しても2月5日に6項目を要望する予定という。代表の青山繁晴議員は、防衛相に提出した上記2つの要望に加え、海上保安庁の大型巡視船の配備と尖閣周辺で自然海洋上陸調査の実施、石垣市に国運営の「尖閣歴史資料館」開設、東南アジアのパートナー国であるベトナムやフィリピンなどと共に、中国海警法施行に反発する近隣諸国との連携を加えるとしている。

中国の海警法は、海警局の組織・任務・権限等を定めている。海警局はこれまで公安部および国家海洋局の下部組織だったが、今後は中央軍事委員会のもと、武装警察直属の組織となり、軍事組織の役割を果たすことになる。

護る会の文書は、中国海警法の施行について「中国国内法による国際法秩序に対する挑戦であり、このような行動を許せば、国際社会全体の平和にとっても大きな脅威である」と指摘する。

文書は、海警局の任務に重大な変化が見られるとし、海警法に関する日本の安全保障に関係する要点を指摘する。これには次の3点を挙げた。

1.外国組織および個人が中国の管轄する海域、島・礁において建築物、構造物を建設した場合、海警局は静止または強制撤去を行う権利を有する 

2.外国軍用船舶および外国政府船舶が中国の管轄海域から退去を拒否すれば、海警機関は強制退去、強制曳航などの権利を有する

3.海上において外国の組織、個人の不法侵害を受けるなどした際、武器の使用を含む一切の必要な措置をとる権利を有する

政府発表によると、1月29日、尖閣諸島を含む東アジア安全保障情勢について国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開いた。会合には、菅総理大臣のほか、麻生副総理兼財務大臣や茂木外務大臣、岸防衛大臣らが出席した。NHKなどは、中国海警法について議論されたと報じている。

1月24日、岸防衛大臣は米オースティン国防長官と電話会談し、日米安全保障条約第5条が沖縄県の尖閣諸島に対して適用対象であることを確認した。

2020年12月2日、衆議院の沖縄および北方問題に関する特別委員会で、茂木敏充外相は、「尖閣諸島をめぐる情勢について、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意で冷静かつ毅然と対応する」とし、11月24日に訪日した中国・王毅外相に対して強く申し入れを行ったことを明らかにした。

いっぽう、王毅外相は来日時、「中国の主権を守る」と主張し、日本の領土主張を否定した。薗浦健太郎・自民党副幹事長は11月のFNN報道番組に出演し、中国側の主権主張は「土台が間違っている。嘘も1万回言えば何とやら(既成事実化する)にならないよう、日本は毅然と反論しなければいけない」と述べた。

(編集・佐渡道世)

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