2014年6月、中国海警局船が南シナ海の中国石油採掘施設の近くを航行したベトナムの船に対して放水した。同月ハノイで行われたベトナム沿岸警備局の記者会見で当時の映像が提示された。 (HOANG DINH NAM/AFP/Getty Images)

中国共産党の「海警法」南シナ海地域の緊張を高める=専門家

中国政府は中国共産党と中央軍事委員会の指揮下にある中国海警局に、外国船舶に対する武器使用を認める権限を付与した。領有権紛争が発生している南シナ海については、主権を主張する諸外国が中国の攻撃的行為に対する非難を強めていることもあり、同海域における緊張がますます高まると専門家等は主張している。

複数の報道によると、この物議を醸す「海警法」は2021年1月下旬に成立した(2月1日に施行)。同法には、外国船舶が中国管轄海域で中国の法律に違反する行為を行った場合、中国海警局が「武器使用を含め必要なあらゆる措置を講じることができる」と定められている。中国は自国が地図上に引いた「九段線」に基づき南シナ海の大部分の領有権を主張しているが、2016年にはハーグに所在する常設仲裁裁判所が中国の主張は無効との裁定を言い渡している。

しかし、中国はこの判定を無視し、複数の中国籍船が他国の排他的経済水域(EEZ)への侵入を繰り返している。中国海警局の船舶が同行してくる場合もある。南シナ海の一部の領有権を主張するブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムは、体当たり攻撃や沈没、乗組員の拘束、天然資源探査の妨害に至るまで中国共産党が行う攻撃的な行動に批判の声を挙げている。

▶ 続きを読む
関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。