ネコがマタタビを嗅ぐと、まるで「酔っ払った」かのように、葉に体を擦り付けてごろごろ転がるのはとてもよく知られている。江戸時代からも「マタタビ踊り」として知られるほど、有名なネコと植物の反応の一つだ。このほど、岩手大学らの共同研究で、ネコがなぜマタタビに反応するのかが初めて解明された。
岩手大学、東海国立大学機構名古屋大学、英国リバプール大学、京都大学の共同研究は、ネコがマタタビをかぐと体に擦り付けようとするのは、マタタビに含まれる蚊の忌避活性をもつ成分ネペタラクトールを、体毛に付着させようとするための行動であることを解明した。
研究によれば、ネペタラクトールは蚊を忌避する効果を示すという。このため、ネコの「マタタビ反応」は、ネコが寄生虫や伝染病を媒介する蚊から身を守るためにとる重要な行動であると結論づけた。
なお、このマタタビ反応は、ネコに限らずヒョウ、ライオンなどのネコ科動物にも見られる。このため、研究チームは、ネコと大型ネコ科動物は約1000万年前に生物種が分かれていることから、マタタビ反応は1000万年以上前のネコ科動物の祖先が既に獲得していたものと推測している。
研究チームは、マタタビに含まれるネペタラクトールは、人類にとっての天敵である寄生虫や伝染病を媒介する蚊の忌避剤として活用できる可能性を指摘している。この研究は、アメリカ科学振興協会が出版する科学雑誌「Science Advances」に1月21日電子版で公開された。
(編集・佐渡道世)
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