アングル:インド、ミャンマー政変に慎重姿勢 「中国接近」を懸念

[ニューデリー 3日 ロイター] – インドが隣国ミャンマーでの軍事クーデターに慎重な対応を取っている。インドが関与するミャンマー国内の総額6億5000万ドルの野心的事業の先行きを心配しているほか、ミャンマー国軍幹部を公然と非難すれば競合する中国に接近する結果を招くと懸念しているからだ。

インド政府の立場に詳しい2人の関係筋は、政府はミャンマーの民主主義の回復を望んでおり、クーデターを起こした国軍とも非公式で協議を行っていると述べた。同時に、国軍への影響力には限界があることも理解し、公然と非難するのは避けたい考えだという。

関係筋のうち1人は「国軍に、これまで起きたことは間違っていると認識させたいとの考えを非常に明確にしている」と述べた。

ミャンマーの警察が2月28日にデモ隊に発砲し、18人以上が死亡したのを受け、インド大使館はツイッターに「全当事者が自制し、平和的な対話で問題を解決するよう求める」と投稿した。

インドのティルムルティ国連常任代表は先に「民主主義的な秩序の回復はミャンマーの全当事者の優先事項であるべきだ」と述べていた。

ただ、ミャンマーを逃れ、インドで難民として暮らす少数民族チン族は3日にニューデリーでデモを繰り広げ、インド政府にミャンマー国軍に対してより強硬な行動を取るよう求めた。

<経済と防衛のつながり>

インド当局はかねてから、中国の南アジアでの政治・経済的影響力の高まりを懸念していた。ミャンマー国軍に背を向ければ、中国がさらに影響力を強めるのを許すかもしれない。

インドはこれまでミャンマーに17億5000万ドルの開発支援を行っており、現在も同国西部での約4億ドル規模の港湾および高速道路建設事業に関与している。インド内陸の複数の州をミャンマー経由でタイと結ぶ道路建設事業にも約2億5000万ドル投じている。

関係筋は「クーデターで接続性が弱まるのが最大の懸念だ」と述べた。

インド北東の国境地帯の警備でミャンマー兵士の協力に依存していることも、国軍に強硬な態度を取れない理由の1つだ。同国境地帯の反政府グループの一部は中国の支援を受けていると考えられている。

インドのマノジ・ムクンド・ナラベーン陸軍参謀本部長は先月、ミャンマー軍は過去2年にわたり、インドの要請で国境沿いで反政府勢力を排除する作戦を行ってきたと述べた。インド軍の施設では多数のミャンマー兵士の訓練が行われており、インドは昨年、ミャンマー国軍に潜水艦を贈与している。

(Devjyot Ghoshal記者)

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