森林火災支援に謝意、豪州がパプアニューギニアに消防車5台を寄贈
2019年から2020年にかけて発生した激しいオーストラリア森林火災によりもたらされた損害、消防費用、清掃費用は7兆5000億円相当(750億米ドル)を上回るが、世界諸国から資金・資源の供与や消防士派遣などの援助が寄せられた。
このインド太平洋地域の隣国に人員と資金を提供したパプアニューギニアに対し、オーストラリア政府は感謝の意を表して、寄贈する消防車5台を積んだオーストラリア海軍(RAN)の「チョールズ(HMAS Choules)」ドック型揚陸艦をパプアニューギニアの首都ポートモレスビーに派遣した。
(写真:オーストラリアから寄贈された消防車をパプアニューギニアのポートモレスビーで積み下ろす労働者等)
2021年2月、オーストラリア海軍「環太平洋(RIMPAC)」第1任務部隊司令官を務めるフィリパ・ヘイ(Phillipa Hay)大佐は声明で、「この消防車は感謝の象徴であるだけでなく、長年にわたりオーストラリアとパプアニューギニアが育んできた能力開発と共有の関係と提携の継続を表すものである」と述べている。
2020年1月、森林火災に対応するオーストラリア国防軍(ADF)を支援するため、パプアニューギニアはオーストラリアに100人の兵士を派遣し、「オーストラリア国防軍の隊員等と協力し合って事態に対応してくれた」と、ヘイ大佐は話している。 同月、パプアニューギニアのジェームズ・マラぺ(James Marape)首相は、消火活動と民間人救助活動を支援するために最大1000人の要員を派遣する準備が整っていると発表している。
オーストラリアに派遣された兵士の大半はラエに駐屯する工兵大隊の隊員である。同都市の住民もまた、火災で大打撃を受けたオーストラリア・ニューサウスウェールズ州のイーデン・モナロ地区のために募金活動を実施した。
オーストラリア放送協会(ABC)が報じたところでは、大規模な火災被害の映像を見て火災募金活動を立ち上げたラエのシーラ・ハロウ元行政官は、青年団体、教会、企業、学校を関与させ、人口約7万人の同地域社会で600万円相当(6万米ドル)を超える義援金を集めることに成功した。同地域の住民の多くの収入は1日あたり100円(1米ドル)に満たない。
オーストラリア放送協会の報道によると、義援金の大半は家屋を失ったイーデン/モナロ地区の住民のために利用され、残りの資金で「BlazeAid」のために2台のトレーラーが購入された。BlazeAidは火災で破壊された柵の再建に携わっている復興支援のボランティア団体である。
オーストラリア・クイーンズランド州消防署の好意によりパプアニューギニアに寄贈された5台の都市型の整備済消防車には、最大1,800リットルの水、救助設備、保護服などの消防設備を搭載できる。
(Indo-Pacific Defence Forum)