あらたふと青葉若葉の日の光。
松尾芭蕉『奥の細道』。旧暦3月27日に江戸を発った芭蕉は、4月1日に日光に至っています。旅立ちの「矢立ての初め」の一句は「行く春や鳥啼き魚の目は泪」ですので、このときは春。4月からは初夏に入ります。
「あらたふと」は、なんとまあ尊いことか、の意。徳川家康公の東照宮をホメちぎって「その御威光の日光に、青葉や若葉までが輝いているよ」という句です。私は芭蕉好きなので、とくに気にはなりませんが、人によっては「ちょっと媚びてるね」と評価が分かれる俳句です。
でも芭蕉さんだって、この『奥の細道』を後で世に出すつもりでしたし、正確な旅の記録ではなく「作品」として書いていますから、多少は世間を意識してもいいんじゃないですかね。コロナ禍いまだ終息せず。芭蕉のような旅がしたいものです。
(慧)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。