【大紀元日本9月18日】
5、委中は、足太陽膀胱経のツボで、膝の後の足を曲げる時太ももとすねのつながるところ(この部位は「腘」という)の真ん中に位置します。腰痛でまっすぐ立てない、背中が重くだるい、背筋を伸ばすことができないなどの症状を治療できます。鍼灸の口訣『四総穴歌』は、「腰背の病気を委中で治す」と言っています。
更に、委中は「風痺」を治療できます。「風痺」とは何でしょうか。「痺」は血行不良の意味で、中国古代では「痺」を「風痺」、「寒痺」、「湿痺」の三大種類に分けていました。「風痺」の痛む場所は一定ではなく変動しているため「行痺」ともいいます。「寒痺」は痛みが強いために「痛痺」ともいい、「湿痺」の痛みは一カ所に定着するため「着痺」ともいいます。「風痺」は風により引き起こされる経絡の不通なので、そのような名前になっています。
膝が曲げられない、あるいは伸ばせないなどの症状も「委中」で治療できます。注意点ですが、このツボの下には大きな血管があるので、灸をしてはいけません。
6、承山は、足太陽膀胱経のツボです。古典では「腨(ぜん)」と称し、現代医学では「腓腹筋」と称する部位、つまりふくらはぎの下方にあります。この部位は魚の腹部に似ているため、「十二穴の歌」に「魚腹」と称されています。このツボは腰痛、便秘、痔、水虫、膝の腫れ、コレラ、こむら返りを治療できます。
7、太衝は、足厥陰肝経のツボです。足の第一指と第二指の間の上約二寸のところに位置します。生死を診断できるのがこのツボの特徴です。このツボの下に動脈が走っており、この動脈が通じなくなると、患者は危篤状態になります。
太衝で癲癇、喉の病気、心臓病、歩行困難、鼠径ヘルニアなども治療できます。鼠径ヘルニアを治すには太衝のほか、臍下部での「三角灸」という方法も良く効きます。また、太衝は目のかすみ、腰痛を治療できます。
8、昆侖は、足太陽膀胱経のツボで、外踝とアキレス腱の間に位置します。「十二穴の歌」では膀胱経のツボを委中、承山、昆侖の三つが挙げられています。昆侖はこむら返り、腰と臀部の痛み、喘息の発作、足の痛みなどを治療できます。昆侖と委中を併用して腰と背中の痛みを治療すれば、より良い効果が収められます。
9、環跳は、足少陽胆経のツボで、臀部の外側の上方に位置します。環跳の部位の筋肉は厚くて、長い鍼を使わないとこのツボに届かないため、時には六寸の鍼を使います。臨床でこのツボを刺す時は、患者を横向きに寝かせて、上の足を曲げて、下の足をまっすぐ伸ばして取ります。腰痛で腰が曲らない、あるいは風痺、寒痺、湿痺、股からふくらはぎまでの痛み、体の向きを変える時の重い痛みなどは、環跳に鍼をすればすぐに軽減できます。
10、陽陵泉は、足少陽胆経のツボです。腓骨頭の前下方に窪みがあり、この窪みは陽陵泉と称します。『難経』に記載されている「八会穴」の「筋会」はつまり陽陵泉のことです。「筋」とは主に腱や靭帯を指します。陽陵泉は腱や靭帯の病気の治療によく使われ、膝の腫れ、下肢の痺れ、痛み、膝と足首の捻挫、脳卒中後遺症の片麻痺などを治療できます。
11、通里は、手少陰心経のツボで、手首の横紋から上方一寸のところに位置します。このツボで心因性の失語、気分不良、胸が詰まるような病気を治療できます。実証の患者で手足が重たい、顔が赤くなるなどの症状を示す時、また虚証の患者で食欲がなく、突然の失語、顔色が悪くてつやがないなどの症状が見られる時、このツボで治療できます。
12、列缺は、手太陰肺経のツボです。両手の親指と人差し指を交差して、手首あたりに人差し指の指先が届くところが列缺です。偏頭痛、身体の痺れ、痰が多い、歯ぎしりなどの症状を治療できます。「四総穴歌」に「頭と首の病気は列缺を使って治療する」と書かれています。
追記:「天星十二穴主治雑病の歌」著者の馬丹陽は金時代の鍼灸医家であり、後に道教に帰依して、道教「全真」北派の著名な七道士の一人になりました。彼は道士としての名声が高いため、医術に優れた医学家であったことはあまり世に知られていません。
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