台湾トンネル内脱線事故 死者54人 負傷者150人以上
台湾東部・花蓮県で発生した台湾鉄路管理局(台鉄)の特急列車の脱線事故で、2日午後6時までに運転士と運転士訓練生を含む計54人の死亡が確認された。150人以上が重軽傷を負い、病院に運ばれた。台湾消防署の発表によると、列車がトンネルに入る前、斜面から落下してきた作業車に衝突、トンネル内で脱線した。
2日は先祖を供養する祭日「清明節」の4連休の初日。台北郊外の新北市から台東市に向かっていた。交通部(交通省)台湾鉄道管理局によると、脱線した特急列車「タロコ号」は日立製作所製の8両編成で、乗客は488人。4〜5車両は壁に激突するなどして大きく形が変形した。
蔡英文総統は2日午後、台湾鉄路災害対応センターを訪れ、1時間近くにわたる事故説明会を視察、聴取した後に会見を行った。「被災者や鉄道関係者の救護に万全を期す。痛ましい事件を受けて、安全を確保するためにできる限りの努力を続ける」と述べた。
大使館に相当する日本台湾交流協会台北事務所によると、50代男性と20代女性の邦人親子が軽傷を負い、手当てを受けたという。
日本の閣僚や政治家もお見舞いのコメントを発表している。菅首相は、日本語と台湾で使用される中国語繁体字で「台湾東部において列車脱線事故が発生し、多数の死傷者が出ているとの報に接し、大変心を痛めています。亡くなられた方々への御冥福を心からお祈りすると共に、被害に遭われた方に対し、心からお見舞い申し上げます」とメッセージを送った。
岸信夫防衛相は、「事故の犠牲になられた方々に対し、衷心より哀悼の意を表しますとともに、一人でも多くの方が救出されるよう願っています」とSNSに書いた。安倍前首相は、「この困難な時にあって、台湾の皆さんの友人として、私たちにできることがあれば協力を惜しみません」と救援の用意があることを示唆した。
観光庁によれば、地域の交通の影響は1日あたり1万人に及び、鉄道事故の心理的要因が1カ月程度続くとの見込みから、月間計15億台湾ドル(約58億円)の損失が生じると推計している。
(佐渡道世)