ビルマ軍事政権指導者やクーデターに関与した軍隊と警察官を対象に国際社会が制裁を発令

ミャンマーで発生したクーデターに対する国際社会の非難が高まる中、欧州連合や米国を含む複数の諸国がこの流血を伴う政変に関与した人物を制裁対象に指定している。

ロイター通信が報じたところでは、ジョー・バイデン(Joe Biden)米政権は警察署長を含むミャンマー軍事政権の2人および抗議者等の攻撃に関与した軍部の2部隊に対して制裁を発令した。ミャンマーのクーデターに関しては、米国はクーデター後の軍事政権幹部等とミャンマー国軍系の複合企業数社をすでにブラックリストに載せている。アントニー・ブリンケン米国務長官は声明を通して、今回追加した制裁措置は「クーデター指導者や暴力を行使する人間に対する措置を継続的に講じるという誓約を遂行する当国の強力な姿勢を示すものである」と述べている。

AP通信が伝えたところでは、米国の制裁措置が発表されたのは、軍当局者10人を含む高官11人に対する資産凍結と渡航禁止の制裁を欧州連合(EU)が発表した直後であった。同通信社によると、欧州連合の制裁措置は国軍総司令官のミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)上級大将とソー・ウィン(Soe Win)副総司令官を含むミャンマー軍高官を対象としている。

国民民主連盟(NLD)のアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)国家顧問が圧勝した2020年11月の連邦議会総選挙が不正であると主張した国軍は、総選挙後初の議会が開催される予定であった2021年2月1日にクーデターを起こし、軍事政権の誕生を一方的に宣言した。AP通信が報じたところでは、その後、軍事政府は11月の総選挙が公正に行われたとの見解を示した選挙管理委員会を解散し、新たな選挙管理委員会を設置した。

経時的に民主主義が発展してきたミャンマーの状態を後退させるクーデターにより発生した惨状に対して、世界諸国からの批判が集まっている。制裁発令時、欧州連合の外相等は声明を通して、27ヵ国の加盟国から成る欧州連合は「民主的に選出された政府を不法に転覆したこと、および軍事政権が平和的に抗議活動を展開する国民に対して残忍な弾圧を繰り返したことへの厳格な措置」として制裁を課したと発表している。

AP通信が伝えたところでは、ドイツのハイコ・マース(Heiko Maas)外相は、「制裁はミャンマー国民を対象としているのではなく、同国で人権を露骨に侵害している人々を罰するためのものである」と述べ、ミャンマーでの過度の暴力を「絶対に容認できないもの」と表現した。 3月下旬、軍事政権はクーデター抗議デモへの参加を理由に拘束していた600人以上の人々を釈放したが、軍事政権が拘束した人数は数千人に上っている。その大半が平和的に抗議を行っていた国民で、3月下旬時点でまだ2000人以上が拘留されている。軍事政権の抗議者に対する弾圧の残忍性が高まる中、3月24日、デモ隊の呼びかけにより、国民は出勤や外出を止めて抗議の意思を示す「沈黙のストライキ」という新しい戦術に訴えた。 

(Indo-Pacific Defence Forum)

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