2021年2月26日、香港のワクチン接種指定センターで市民が受ける中国シノバック社のコロナバックワクチン(Billy H.C. Kwok/Getty Images)

中国当局、国産ワクチン接種後の死亡情報を検閲

中国当局は、SNS上でワクチン接種後の死亡情報を検閲している。江蘇省南京市の女性はこのほど、ネット上でワクチン接種が原因で死亡の可能性があると投稿し、その後警察当局に拘束された。

江蘇省網警(ネット警察)は20日、中国版ツイッター、微博上での発表によると、南京市の女性市民が動画共有サイトで「(中国製の)新型コロナウイルスのワクチンを接種しないで。接種すれば死ぬかもしれない」との動画を投稿した。警察当局は「デマを流した」として同市民を7日間、行政拘留することを決めた。

深セン市で28歳の男性軍人が、中国医薬集団(シノファーム)が開発したワクチンを受けた15日後に死亡した。男性の姉が同日、微博に投稿して明かし、当局に説明を求めた。しかし、この投稿はネット検閲当局によって削除された。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、中国国内のネット上には、22歳の女子大学生がワクチン接種を受けて亡くなったという情報もあった。女子大生は12日に急性脳溢血の症状が現れ、病院の集中治療室(ICU)に搬送されたと後輩は投稿した。病院側が家族に危篤通知書を送ったという。この投稿も当局によって検閲された。

武漢市民の陳達光さんはRFAの取材に対して、「ワクチンの副反応に関して、国内メディアは全く報道していない。ネットユーザーがこういう情報を投稿すると、政府はすぐ削除する。国産ワクチンに関して、私たちは不安を感じている」と述べた。

香港政府の発表では、香港で中国科興控股生物技術(シノバック)のワクチンを接種して亡くなった市民の数は、17日時点で累計15人となった。香港政府は2月26日にシノバック社のワクチンの接種を始めた。

中国疾病予防管理センター(CDC)の高福主任は10日、国産ワクチンの有効性は「高くない」と述べた。同氏によると、中国当局は予防効果を向上するためにワクチンの併用を検討している。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。