事業者支援などで補正予算は考えていない、予備費など活用=菅首相

[東京 23日 ロイター] – 菅義偉首相は23日、4都府県に対して3度目となる緊急事態宣言の発令を決定した後に記者会見し、事業者支援などで補正予算は考えていないと述べた。

また、自身の自民党総裁としての任期である9月より前に衆院の解散・総選挙を実施したいと明言した。東京オリンピック・パラリンピックについて、自身に開催の是非を判断する権限はないと繰り返し、引き続き開催準備を進める意向を強調した。

<交付金5000億円を措置、補正予算は考えない>

首相は会見の冒頭で、今年1月に2回目の緊急事態宣言を発令した際の自身の発言を踏まえ、「私自身、二度と再び宣言に至らないよう全力を尽くすと述べたが、再び多くの方に迷惑をおかけすることになり、心からおわびする」と陳謝した。

今回の緊急事態宣言は、飲食店に営業時間の短縮を求めるだけでなく、酒類を提供する飲食店、カラオケ設備を提供する飲食店、デパートなど1000平方メートル以上の大型施設に休業を要請する厳しい規制内容となっている。首相は経済的な影響について「(5月11日までの)期間中に感染を防止できれば、それほど大きくない」との見解を示した。

休業に応じる事業者支援のため、都道府県に対して臨時交付金5000億円を措置すると述べた。経済対策は2021年度当初予算に盛り込まれた5兆円の予備費などを活用し、「補正予算は考えていない」と明言した。

同席した政府の基本的対処方針分科会の尾身茂会長は、今回の緊急事態宣言の延長の有無に関して、「解除判断は新規感染者数などとともに、リバウンドの有無も考慮して判断が必要」と述べた。

<衆院解散、自民党総裁の任期の中で考える>

菅首相は安倍晋三前首相の突然の辞任を受けて昨年9月に就任したため、自民党総裁としての任期が今年9月に迫っている。総裁選に再出馬するかとの質問に対して「私の総裁任期の中で、機会を見て解散・総選挙を考えないといけない」と述べ、自身が解散に踏み切る意向を示した。

<五輪開催の権限はIOCに>

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中で五輪開催を決行するのかとの質問には「開催権限は国際オリンピック委員会(IOC)にある」とし、その中で「安心安全な大会を開催するため全力を尽くす」との従来の発言を繰り返した。

今回の宣言期間が2週間余りと過去2回の宣言よりも短い理由については「すでにまん延防止等重点措置を2週間程度適用している」と説明。

5月11日を期限とするのは17日にIOCのバッハ会長が来日するためでは、との複数の質問に対してはコメントしなかった。

3月に新規感染者数が増加傾向にある中で前回の緊急事態宣言を解除したのは、同月末に開始した「聖火リレーとは関係ない」と述べた。

 

(竹本能文 編集:山川薫)

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