カナダ下院委員会、衛生当局者を追及 中国系研究者のウイルス武漢輸送で
カナダ下院のカナダ・中国関係に関する特別委員会(CACN)は26日、2019年に国立微生物学研究所(NML)の中国出身の科学者が生きているエボラウイルスを中国に持ち出したことをめぐり、カナダ公衆衛生庁(PHAC)とNMLの責任者を徹底的に追及する姿勢をみせている。
CACNは、PHACのイアン・スチュワート(Iain Stewart)長官とNMLのギョーム・ポリクイン(Guillaume Poliquin)副所長代行を5月10日の公聴会に再び召喚する予定。公聴会で、議員らは、NMLからエボラウイルスとヘニパウイルス(Henipavirus)が中国軍に近い中国武漢ウイルス研究所(WIV)に送られたことについて、指定期日に関連情報を議会に提示しなかった理由を問う。
NMLはバイオセーフティーレベル4実験室(P4実験室)を持ち、各種の感染症や病原体となるウイルスの研究を行っている。
2019年7月5日、NMLは中国系研究者である邱香果(Xiangguo Qiu)氏と夫の成克定(Keding Cheng)氏、および一部の中国人留学生を解雇し除籍した。同年3月31日、邱氏は生きたエボラウイルスのサンプルを持ち、エア・カナダの一般旅客機に乗り北京に向かった。ウイルスは、最終的に武漢ウイルス研究所に送られたとみられる。
CACNの副委員長を務めるガーネット・ジニアス下院議員(保守党)は22日、大紀元の取材に応じた。
同議員によると、カナダ衛生当局のトップは、邱氏らの解雇はウイルスの中国への輸送と無関係だとしている。今年3月22日の公聴会で、CACNの委員らは、PHACのスチュワート長官に対して、邱氏らを解雇した理由を求めたが、長官は「申し上げることができない」と調査情報の提供を拒んだ。
ジニアス議員によれば、NMLのポリクイン副所長代行も同日の公聴会に出席した。
この公聴会で、ポリクイン氏は「われわれは武漢ウイルス研究所の所長から、ウイルスの使用目的に関する手紙を受け取った。手紙では、対象となるウイルスは病態生理(感染症の性質)の研究と抗ウイルス剤の開発に利用されることを示した」と明らかにした。しかし、「武漢ウイルス研究所が、コロナウイルスの機能獲得(gain-of-function、GOF)研究に関わっていることを知っているか」というジニアス議員の質問に対して、ポリクイン氏は「この特定問題には答えられない」と返答したという。
米国立衛生研究所(NIH)科学政策室の情報によると、GOF研究と実験は、致死性のウイルスを操作し、その感染性や致死性を高める目的がある。
CACNは3月22日の公聴会で衛生当局から有力な情報を得られなかったとして、同月31日にPHACとNMLに対して、今後20日間内に武漢ウイルス研究所へのウイルスサンプル輸送に関するすべての情報と文書を同委員会に提出するよう命じた。
しかし、PHACなどは期日までに提出しなかった。このため、CACNは5月10日に再び両政府機関のトップの呼び出しを決めた。
ジニアス議員は「この問題を徹底的に追及していく」「これらの関連資料や情報に基づき、国家安全政策に関して議会に提言する」と述べた。
(記者・ISAAC TEO、翻訳編集・張哲)