米石油パイプライン停止、早期復旧へ政府も「総力挙げて」支援

[9日 ロイター] – 米パイプライン最大手のコロニアル・パイプラインがサイバー攻撃を受け、米東海岸の燃料供給の大動脈が停止した問題で、米政府当局者は9日、復旧を支援するため会社側と緊密に連携していると明らかにした。

レモンド米商務長官は、より深刻な燃料供給の混乱を回避し、コロニアルが全長約8850キロのパイプラインを早期に再稼働できるよう政府として取り組んでいると説明した。

同長官はCBSの番組で「総力を挙げて取り組んでいる」とし、「できるだけ早急に通常の操業を再開し、供給に支障が生じないよう、会社側や州・地方当局者と緊密に連携している」と述べた。

コロニアルは8日、「サービス一時停止の影響を引き続き注視」し、再開に向けて取り組んでいると表明した。同社もレモンド長官も再開の時期には言及していない。

コロニアルは、メキシコ湾岸の製油所から米中部大西洋沿岸地域や南東部にガソリンなどの燃料を1日250万バレル輸送している。ジョージア州アトランタのハーツフィールド・ジャクソン国際空港など、米国内の主要空港にも燃料を供給している。

全米自動車協会(AAA)などの専門家は、パイプライン停止が数日続けば、特に南東部で燃料供給に大きな影響が生じると指摘している。

コロニアルと同じ地域に燃料を供給している別のパイプラインの輸送量は、コロニアルの3分の1にとどまる。停止が長引けば、メキシコ湾岸から東部沿岸の港にタンカーで燃料を輸送する必要が出てくる。

パイプライン停止の報道を受け、7日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)ではガソリン先物やディーゼル先物が上昇した。

米政府による捜査は初期段階にあるものの、元政府関係者1人と業界関係者2人によると、ハッカーはプロのサイバー犯罪集団とみられ、「ダークサイド」と呼ばれる集団の関与が疑われているという。

ダークサイドは、ランサムウエアを仕込んで金銭を要求することで知られている。ランサムウエアは、データを暗号化してシステムを停止させ、金銭を要求するマルウエアの一種。

業界関係者2人によると、サイバーセキュリティー会社ファイア・アイが対応に協力している。コロニアルは「外部のサイバーセキュリティー大手」と協力していると発表しているが、社名は公表していない。

ブルームバーグが関係筋の話として報じたところによると、攻撃を仕掛けたハッカーはダークサイドの構成員で、6日に100ギガバイト近いデータをコロニアルのネットワークから抜き取ったという。

ロイターはダークサイドのハッカーにメッセージを残したが、現時点で返答はない。ハッカーらが被害者のデータなどを投稿する同集団の「ダークウェブ」上でコロニアルへの言及はない。

コロニアルは、ダークサイドのハッカーが今回の攻撃に関わったかどうかや、要求されたランサムの内容についてコメントを控えた。

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