入管法改正案が廃案へ、「人権侵害」と野党や国内外から批判

[東京 18日 ロイター] – 在留外国人の収容や送還の規則を見直す入管法改正案を巡り、野党の反対や国内外の批判を受け、政府は18日、今国会での成立を断念、法案を取り下げて廃案にすることを決めた。

同法案は、難民申請をしている外国人でも強制的に母国に送還されることや、退去命令に従わない人に罰則を設けるなどの点が難民条約違反、人権侵害であるとして弁護士団体や学者など国内外から批判を浴びていた。

入管法に詳しい児玉晃一弁護士は「たくさんの声が集約され、入管法の改悪が阻止された。SNSやネットニュースを通じていろいろな人に声が届き、みんなの声が勝ち取った成果」と述べた。

国会では、法務委員会で野党議員が法案の問題点を指摘、修正協議も行われていた。しかし、入管施設で3月、収容中に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(33)に関し、遺族に監視カメラ映像を開示するよう野党が求めたのに対し、出入国在留管理庁がこれを拒否、野党側は法務委員長の解任決議案を提出して与野党間の対立が深まった。

このため与党は18日、今国会での成立を断念することを決めた。ある与党幹部は「国際社会の批判もあり、強行採決はメリットがない」と語った。

昨年8月から不法滞在で名古屋出入国在留管理局に収容されていたウィシュマさんは、今年になって体調を崩し1月下旬から嘔吐を繰り返し吐血もしたが、入院などの措置はとられず3月6日、職員が死亡しているのを発見した。

支援団体と遺族は5月16日午後、名古屋市でウィシュマさんの葬儀を行い、約80人が参列した。支援団体は国会前で断続的に抗議活動を行い、法案の廃案とウィシュマさんの死亡についての真相究明を訴えてきた。

上川陽子法相はウィシュマさんの遺族と18日午後に面会することを明らかにした。

2019年末時点で、全国で収容されていた外国人は1054人。本来、収容所は退去強制令書を発出された人が退去するまでの間一時的に収容される場所だが、実際には1054人のうち約400人が6カ月超収容されていたという実態がある。

国連の「恣意的拘禁作業部会」は20年9月に、日本の入管収容制度における長期収容について、申し立てを行った被収容者2人の事案は国際法に違反し「恣意(しい)的」であるとし、日本政府に意見書を送付し必要な措置をとるよう求めた。

こうした長期収容の問題を改善するために政府は同改正法案を策定したが、内容について理解を得られなかった。

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