カナダの大学と中国の間で多くの共同研究プロジェクトを展開している。安保上の懸念を示し警告している(ROGERIO BARBOSA/AFP/GettyImages)

カナダ・アルバータ州政府、大学に中国との協力停止を要求 安保上などの懸念で

カナダのアルバータ州政府は、州内の主要大学が中国と関わりのある研究協力を一時停止すると発表した。国家安全保障上の理由および人権侵害の加担を避けるためだとしている。

カナダの大学と中国の間には多くの共同研究プロジェクトが展開している。「中国はカナダの大学と協力を通じてカナダの重要な戦略的技術を盗み出し、国家に深刻な脅威をもたらす」とカナダの情報セキュリティ専門家は以前から警告してきた。

アルバータ州は協力関係の一時停止を打ち出した同国初の州政府となった。

同州の教育担当大臣は州内で学術研究を主とするアルバータ大学(University of Alberta)、カルガリー大学(University of Calgary)、レスブリッジ大学(University of Lethbridge)、アサバスカ大学(Athabasca University)の4校に対し、当面、中国との協力プロジェクトの停止を命じた。

また、大学理事会は90日以内に、中国政府および中国共産党と関わりのある協定、研究およびその他の協力に関する報告書、大学と中国企業や政府機関との連絡資料の提出を求められた。

同州のデメトリオス・ニコライデス(Demetrios Nicolaides)高等教育大臣は声明の中で、「カナダの知的財産権が盗まれている可能性や、中国との研究提携が中国の軍事・諜報機関に悪用される可能性」に対して懸念を示した。

「州の大学研究は主に納税者からの資金によって賄われている。もし、それが中国に悪用され、カナダとカナダの同盟国に損害を与えたり、あるいは中国政府による自国民への人権侵害のために利用されたりすれば、これは全く容認できないことだ」とした。

同氏は「今回の措置はあくまでも中国政府に対する予防的措置であり、中国人民を標的にするものではない」と強調した。

これに先立ち、カナダ紙「グローブ・アンド・メール」は、アルバータの大学と中国は、ナノ、生化学、人工知能などの戦略的プロジェクトに関わる多くの研究を共同で行っていると報じた。その多くはカナダで開発された技術の商業化に関する研究だが、主導権は中国にあると指摘した。

オタワ大学のマーガレット・ジョンストン(Margaret McCuaig-Johnston)教授は、アルバータ州政府の行動を称賛した。「カナダの技術が悪用されるのを防ぐために、他の州でも追随することを検討すべき」と述べた。

同教授はまた、 「ウイグル人を追跡したり、彼らの個人情報を収集し監視したりする技術の背後にはカナダの研究開発の成果がある。中国は常に『自分たちは技術を盗んだり、プライバシー情報を漏らしたりしない』と主張している。しかし、その主張は信頼できないと示す記録があまりにも多い」と指摘した。

ブリティッシュコロンビア大学のHsingChi von Bergmann教授は、中国だけでなく、外国と協力するすべての機密技術プロジェクトの再審査を要求すべきとの見解を示した。

今年3月、カナダのイノベーション・科学経済開発省は、各大学や研究機関に知的財産権の保護を求め、国家安全保障を研究パートナーシップの評価に組み込むためのリスク・ガイドラインを策定していると発表した。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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