米の半導体企業支援法案が難航 厳格化目指す修正提案に企業側反発

[ワシントン 27日 ロイター] – 米国が中国の科学技術に対抗するための上院の対中法案の扱いを巡り、米企業団体などが反発を強めている。法案について、超党派の複数の議員が内容のさらなる厳格化を目指す修正法案を提案しているためで、修正議論の行方が宙に浮いた形だ。

上院に提出された法案は、中国など米国にとっての競争国に資金が渡るのを阻止しようとしている。新たな規制や、中国への投資や合併買収などの案件を審査する措置が導入されれば、半導体や医療機器などの分野で、中国での米企業の将来の活動を阻害する可能性もある。

議員らは、米企業が重要な技術を巡って中国企業に頼り、米国の安全保障が損なわれるのを止めるため、安全保障関連の開示義務化や徹底的な審査といった安全装置を求めている。

法案の内訳はハイテク関連の調査に1200億ドル、米半導体業者の生産支援に540億ドル。しかし、米国の半導体工場のためにだれが資金を得るかを決めるに当たり、外国の受け取り手と米国拠点企業を区別する規定がない。

半導体関連の資金支援の主な目的は、世界の先端半導体工場を米国に作らせることだ。しかし、そうした半導体生産技術を持つのは台湾の大手、台湾積体電路製造(TSMC)と韓国のサムスン電子しかない。

これに対し、共和党のマルコ・ルビオ議員は米安全保障当局者に政府支援資金の受け手を審査し、中国政府や中国政府系企業などの外国組織から受け取っている資金や支援を開示することを義務づける修正法案を提案した。これが通れば、TSMCとサムスン電子に影響することになる。両社とも中国で事業をしている。

一方、民主党のボブ・ケーシー議員(民主党)と共和党のジョン・コーニン議員が提案した修正法案は、中国や米国に敵対的な国への米企業による投資について、徹底的に審査することを義務づける内容。これは米国の法律の大きな変更につながる。米国の法律はこれまで何十年も、米国内への投資の審査を定めてきており、米国から外国への投資は対象にしてこなかった。

米商工会議所の国際政策担当幹部、ジョン・マーフィー氏は、現行の米国の輸出規制法などで中国への投資問題は対処できると主張。今回の修正法案の提案は包括的な法案に加えられる前に、上院でもっと議論が必要だとしている。

上院のあるスタッフは、特にケーシー議員とコーニン議員の修正提案に対して米企業側や上院財政委員会の重要メンバーを含む一部共和党議員から、反対が強いと指摘。「採決にたどり着けるかは、われわれは確信が持てない」と話した。

上院民主党のシューマー院内総務は今週に対中包括法案を通す意向。しかし、共和党側は法案の準備はまだ整っていないと主張している。

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