【歌の手帳】枝は折るとも

よそに見て帰らむ人に藤の花這いまつはれよ枝は折るとも(古今集)

歌意「私の邸の近くまで来ながら、庭先の藤の花を遠くから見るだけで、そのまま帰る人がいる。藤の木よ、その蔓(つる)を這(は)い伸ばして、からみつき、あの人を引き留めておくれ。たとえ藤の枝が折れてしまおうとも」。

平安時代前期の歌人、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)の作。

緊急事態宣言が今も続いています。皆様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。昨年来のコロナ禍のなかで何が悲しいかと言えば、目に見えない理不尽な力が、人と人とのつながりを希薄にさせていることでしょう。

だからこそ、歌を詠み、歌で答える。

それは日本人が古来より大切にしてきた絆です。本コラム「歌の手帳」再度の出発です。

(聡)

 

(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!