G7、対中強硬姿勢で温度差、日本は「態度決めかねる」との報道
13日まで英コーンウォールで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、中国への対抗姿勢が一段と鮮明になった。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)13日付によると、各国首脳の間で中国への対応に関して温度差があり、「日本は態度を決めかねている」という。産経新聞の矢板明夫・台北支局長が大紀元に対して、日本が最近中国に強い姿勢を見せているものの、「対中政策の根本的な転換ではない」との見解を示した。
米バイデン政権の匿名希望の高官は、VOAの取材に対して、「一部の興味深い議論において、(7カ国首脳の間で)少し意見が割れた」と話した。
同高官は、首脳らは覇権主義的な態度をとっている中国当局について「真の脅威」との認識を共有したが、中国当局に対して積極的な行動で対抗していくことにおいて、意見が分かれた。イタリア、ドイツと欧州連合(EU)は、中国により強硬姿勢を示すのを望んでおらず、「協力的な関係(cooperative nature of the relationship)」を築こうと考えている。
いっぽう、米国、英国、カナダとフランスは程度の差はあるものの、より「行動的(action-oriented)」に対応していくとの考えを示した。
VOAは日本について、7カ国の中で「態度を決めかねていた(ambivalent)」とした。
しかし、日本政府は今年に入ってから、台湾問題などをめぐって、中国当局に対して強い姿勢を示している。今月4日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が拡大している台湾に124万回分のワクチンを無償提供した。
また、菅義偉首相が今年4月に訪米し、1月に大統領に就任したばかりのバイデン氏との間で、初の首脳会談を行った。これはパンデミック以来、初めての対面による会談でもあった。会談後の共同声明には「台湾」が明記された。日米首脳の共同文書で「台湾」に言及したのは、日中国交正常化前の1969年11月以来のことである。
菅首相と立憲民主党の枝野幸男代表は9日の党首討論で、台湾を「国」と表現した。
また、参議院は11日の本会議で、台湾の世界保健機関(WHO)総会への参加を支持する決議を全会一致で可決した。
日本政府と議会の対中姿勢について、矢板氏は、現在世界各国だけでなく、日本国内でも反中感情が高まっていると大紀元に語った。
「参議院議員245人が全会一致で決議を可決した。これは議員の支持者も台湾を支持し、中国(当局)に反対していることを反映した。日本国内で高まる反中感情が浮き彫りになったと言える。菅首相もこの民意を認識している」
今年10月、衆議院の総選挙が予定されている。矢板氏は、菅首相や議員らの動きは、選挙を強く意識しているとの見方を示した。同氏はまた、「菅首相はG7サミットで、東京オリンピック開催に関して米国など各国から支持を得たいという狙いがあるため、最近、中国への批判を強めている」と述べた。
矢板氏は、日本政府が短期間に対中政策を転換する可能性は低いとした。政府は「中国に数万社の日本企業が進出しており、十数万人の日本人が住んでいる」ことを考量しなければならないためだという。
また、「日本は軍隊を持たず、軍事力が弱い」ことも、現在、政府が中国当局に対して強硬姿勢を示せない原因の一つだ。
日本国民の中国当局に対する反発と批判が一段と高まれば、政府も対中政策を大きく変える可能性はあると矢板氏は示した。
(記者・高遠 翻訳編集・張哲)