2021年5月17日、中国海南省海口市の港で出港しようとしているコンテナ船(STR/AFP via Getty Images)

感染拡大の広東省、港封鎖で世界海運業界に混乱 中国対外貿易にも打撃

中国広東省ではこのほど、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大により、同省のの付近で入港できない船舶で深刻な混雑が起きた。輸送の遅れが出たため、グローバルなサプライチェーンも混乱が生じた。また、昨年末以降、中国からの海上輸送コストの高騰により、多くの中国企業が輸出注文をキャンセルした。

5月下旬、広東省では感染が急速に拡大したため、中国当局は感染防止対策として、深セン市の主要港である塩田港を含む省内の各港を閉鎖した。

英BBCの報道によれば、塩田港だけでも、港の外海に貨物やコンテナを積んだ数十隻の船が待機している。

世界的な海上貨物輸送コストは、コンテナの不足と中共ウイルスの大流行で、ここ数カ月上昇し続けている。昨年第3四半期(7~9月期)以来、中国の主要港でコンテナ不足が拡大して、コンテナの価格が押し上げられた。

中国本土の港からのコンテナ輸送の海上運賃を示す指数、SCFIインデクス(上海コンテナ・フレイト・インデックス)は今月5日までの1週間において、前年比282%増加した。中国東部の天津から米国東海岸までの海上運賃は、6月前半の1万4000~1万6000ドルとの水準から、6月後半の1万7000~1万8000ドルに値上がりした。

天津市にある貿易会社の責任者は11日、中国紙・21世紀経済報道に対して、「今は本当にコントロールできない状況だ」と述べた。米国に貨物を発送するのに、責任者はすべての海運会社を訪問したが、船積みスペースを確保できないため、運賃がさらに高い貨物輸送会社に助けを求めるしかなかったという。一部の貨物輸送業者は、天津まで米東海岸までの距離で1つの高さ約12メートルのコンテナの運賃を2万ドル以上と提示したという。

責任者は、運賃が商品の価値の6割以上を占め、これに25%の関税を加えると、「(会社には)ほとんど利益がない」と話した。

さらに、各国の海運企業は、GRI(海上運賃一括値上げ)を含む様々な追加料金を引き上げた。フランスのコンテナ輸送会社CMA CGMは今月1日から、アジアの港から米国とカナダまでのルートのGRIを引き上げた。

台湾の海運会社、万海海運(ワンハイラインズ)は、最近の運営費の増加により、中国からアジアの他の地域に輸出される商品の運賃を値上げすると発表した。

天津市の貿易会社の責任者は、海上輸送の運賃の高騰は、中国の中小貿易会社にとって、耐えられない負担となっていると指摘した。同氏によると、輸出のピークシーズンに入ろうとしているにも関わらず、一部の貿易会社は輸出注文をあきらめたという。

投資ストラテジスト、マイク・ソン(Mike Sun)氏は、「東南アジア、特にインドでの感染が急拡大しているため、多くの注文は中国に流れている」と大紀元に語った。

「大量の注文は中国企業にとって良いことであるが、コンテナ価格と海上輸送の運賃の高騰、さらに、多くの商品が港に停滞していることは、中国の対外貿易に大きな打撃を与えた」

ソン氏によれば、中国の貿易企業の収益は現在約6%しかない。海上輸送費の大幅な値上げに、中国企業は悲鳴をあげている。

(記者・Alex Wu、翻訳編集・張哲)

関連記事
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明