中国広東省ではこのほど、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大により、同省の港の付近で入港できない船舶で深刻な混雑が起きた。輸送の遅れが出たため、グローバルなサプライチェーンも混乱が生じた。また、昨年末以降、中国からの海上輸送コストの高騰により、多くの中国企業が輸出注文をキャンセルした。
5月下旬、広東省では感染が急速に拡大したため、中国当局は感染防止対策として、深セン市の主要港である塩田港を含む省内の各港を閉鎖した。
英BBCの報道によれば、塩田港だけでも、港の外海に貨物やコンテナを積んだ数十隻の船が待機している。
世界的な海上貨物輸送コストは、コンテナの不足と中共ウイルスの大流行で、ここ数カ月上昇し続けている。昨年第3四半期(7~9月期)以来、中国の主要港でコンテナ不足が拡大して、コンテナの価格が押し上げられた。
中国本土の港からのコンテナ輸送の海上運賃を示す指数、SCFIインデクス(上海コンテナ・フレイト・インデックス)は今月5日までの1週間において、前年比282%増加した。中国東部の天津から米国東海岸までの海上運賃は、6月前半の1万4000~1万6000ドルとの水準から、6月後半の1万7000~1万8000ドルに値上がりした。
天津市にある貿易会社の責任者は11日、中国紙・21世紀経済報道に対して、「今は本当にコントロールできない状況だ」と述べた。米国に貨物を発送するのに、責任者はすべての海運会社を訪問したが、船積みスペースを確保できないため、運賃がさらに高い貨物輸送会社に助けを求めるしかなかったという。一部の貨物輸送業者は、天津まで米東海岸までの距離で1つの高さ約12メートルのコンテナの運賃を2万ドル以上と提示したという。
責任者は、運賃が商品の価値の6割以上を占め、これに25%の関税を加えると、「(会社には)ほとんど利益がない」と話した。
さらに、各国の海運企業は、GRI(海上運賃一括値上げ)を含む様々な追加料金を引き上げた。フランスのコンテナ輸送会社CMA CGMは今月1日から、アジアの港から米国とカナダまでのルートのGRIを引き上げた。
台湾の海運会社、万海海運(ワンハイラインズ)は、最近の運営費の増加により、中国からアジアの他の地域に輸出される商品の運賃を値上げすると発表した。
天津市の貿易会社の責任者は、海上輸送の運賃の高騰は、中国の中小貿易会社にとって、耐えられない負担となっていると指摘した。同氏によると、輸出のピークシーズンに入ろうとしているにも関わらず、一部の貿易会社は輸出注文をあきらめたという。
投資ストラテジスト、マイク・ソン(Mike Sun)氏は、「東南アジア、特にインドでの感染が急拡大しているため、多くの注文は中国に流れている」と大紀元に語った。
「大量の注文は中国企業にとって良いことであるが、コンテナ価格と海上輸送の運賃の高騰、さらに、多くの商品が港に停滞していることは、中国の対外貿易に大きな打撃を与えた」
ソン氏によれば、中国の貿易企業の収益は現在約6%しかない。海上輸送費の大幅な値上げに、中国企業は悲鳴をあげている。
(記者・Alex Wu、翻訳編集・張哲)