関係筋によると、バイデン米大統領が今月署名した米個人情報保護に向けた大統領令を受け、商務省は一部の中国系アプリに対し、米事業の継続を認める条件として個人情報保護を強化するよう迫る見通し。写真はワシントンで2017年3月撮影(2021年 ロイター/Eric Thayer)

米、中国系アプリに情報要求か利用禁止も 新大統領令で=関係筋

[17日 ロイター] – バイデン米大統領が今月署名した米個人情報保護に向けた大統領令を受け、商務省は一部の中国系アプリに対し、米事業の継続を認める条件として個人情報保護を強化するよう迫る見通し。事情に詳しい関係者が明らかにした。

大統領令は、敵対国と見なす中国とロシアなどが米国内の個人情報や企業の機密情報を大量に入手するのを防ぐ狙いがある。

大統領令で具体策を指示された商務省は、スマートフォンやタブレット端末、パソコン向けの特定のアプリの情報を求める召喚状を出す可能性があり、その後、米国での利用継続を認める条件を企業側と交渉するか、利用を禁止する可能性もあるという。

バイデン大統領が9日に署名した大統領令は、中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」と動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の使用制限に関するトランプ前大統領の大統領令を取り消し、新たな内容に置き換えた。トランプ氏は両アプリの新規ダウンロードの禁止などを命じたものの、連邦地裁が一時差し止めの判断を下した。

ただ、関係筋によると、米当局者は、TikTokを禁止したトランプ氏の大統領令に記された懸念の多くに共感している。中国が米政府職員の居場所を追跡し、恐喝で使うための個人情報の記録を蓄積し、企業スパイ活動を行う可能性を懸念している。

バイデン氏の新大統領令は、トランプ政権下の大統領令よりも強力な法的枠組みの下でより多くのアプリを標的にする可能性がある。バイデン政権は外国にも支持を働き掛ける見通し。

関係筋は、米政府当局者が同盟国と足並みをそろえるための協議を開始したと明かした。禁止すべきアプリについて同盟国と見解を一致させたい考えだという。

レモンド商務長官が新たな措置の対象となる中国系アプリについて判断することになる。中国やロシアといった敵対国の軍事活動あるいは情報収集活動を支える個人や団体が所有、支配または管理しているアプリなど、特定の基準を満たす必要がある。

商務省の報道官は、レモンド長官が特定のアプリが受け入れ難いリスクをもたらしていると判断すれば、当事者に直接通知するか、官報に情報を掲載するかを決める権限があると説明。

アプリの運営会社は30日以内に異議を申し立てるか、個人情報保護を強化する措置を提案する必要がある。

関係筋によると、トランプ前大統領の命令の標的となったウィーチャットやTikTokなど10の中国系アプリがバイデン政権の見直し対象になり得る。金融会社アント・グループの電子決済サービス「アリペイ」、ウィーチャットペイ、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)のQQウォレット、キャムスキャナーやも含まれる。

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