海ならず湛(たた)へる水の底までに清き心は月ぞ照らさん(新古今集)
歌意「海はもちろん、それ以上に満々と水をたたえる深い水底にも匹敵するほど清らかな心は、それを月が照らすように、いつか必ず明らかにされるであろう」。
菅原道真(845~903)の作。醍醐帝の御代、先帝の信任厚かった右大臣菅原道真は、左大臣藤原時平の讒言により、九州大宰府へ左遷されます(901)。2年後に大宰府で没しますが、やはり道真の心中に堪え難い感情があったことが、左遷途中の備前国で詠んだこの一首からも伺われます。
道真の没後、都では不吉が続きます。930年、清涼殿に雷が落ちて炎上。それを祟りと恐れて後世、菅原道真は「天神さま」「学問のかみさま」に祀られることになります。
(聡)
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