台湾の研究チームが4月、太平島の海域を調査したところ、水深2メートル以下の海底礁のサンゴ9割がなくなっていたことがわかった。台湾政府は国立海洋研究所と協力して、オニヒトデがサンゴ礁に与える影響を緩和するための解決策を模索している。
中央研究院生物多様性研究センターの鄭明修(てい・めいしゅう)氏が率いる研究チームは、太平島に6つのモニタリングサイトを設置した。その結果、平均サンゴ被度が2017年には50%に達し、2021年には1%以下となり、99%のサンゴがなくなったことを発見した。
研究チームは、太平島から2400メートルを離れた南西海域に行ってみると、途中ですべてのサンゴがなくなっているのを確認した。日本統治時代の太平島の沈船には30匹以上のオニヒトデが発見された。
オニヒトデの被害はオーストラリアのグレートバリアリーフでは、この30年間で何度もオニヒトデが発生している。地域の27年間の報告書によると、サンゴの被度は28%から13%までに低下し、ほぼ50%のサンゴが失われている。
オニヒトデによるサンゴの死亡が42%で、大規模なサンゴの白化現象による死亡率が22%。1匹のオニヒトデは1日に161平方メートルものサンゴを食べることがある。オニヒトデを処理しなければ、サンゴ礁を再生することはできないという。
サンゴの被度が50%以上のサンゴ礁では、1万平方メートルあたり20~30匹のオニヒトデが生息しており、30匹以上になると警戒態勢に入る。今年の14回の測定によると、合計532匹のオニヒトデがあり、1万平方メートルあたり平均38匹の大量発生となっている。
鄭氏は、オニヒトデが大量発生した理由として、天敵の消滅、白化現象の後、河川汚染の栄養源になっているのではないかとみている。オニヒトデの主な天敵はホラガイやウミウシの他、80種以上の魚がオニヒトデを食べる。天敵が減ることでオニヒトデの数が増えている可能性がある。現在、太平島や台湾の海ではウミウシが非常に少なくなっており、人工的な繁殖も困難である。
オニヒトデの被害は温暖な太平洋の珊瑚礁のある地域で確認されている。オーストラリアのグレートバリアリーフでは、画像認識システムを使ってオニヒトデを発見し、AIロボットアームを使い、酢酸の注射による駆除を行っていた。10年以上前にも、南シナ海の西沙諸島でオニヒトデが発生し、中国の当局が1000万元を投じて漁師を動員して捕獲したことがあった。日本の沖縄県石垣島のサンゴ礁も2013年にオニヒトデに食べられてしまい、沖縄県は数億円かけて従業員を雇い、23万匹のオニヒトデを駆除した。
台湾海洋保護局は、太平島でのオニヒトデ大量発生は、一つの島の事例だが、近隣の島に共通する現象だと述べた。後は観察と調査を続け、国家海洋研究院と協力して関連資源の評価と統合を行うとしている。
(大紀元日本ウェブ)
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