かたつむりそろそろ登れ富士の山(一茶発句集)
歌意「かたつむりよ。あせらず、ゆっくり登ってゆけよ。あの高く大きな富士山にまで」。足元のカタツムリに語りかける小林一茶(1763~1828)の、まさに「小さなものへのあふれる愛情」が見られる一句です。
よく知られている句は「やせ蛙まけるな一茶これにあり」「やれ打つな蠅が手をすり足をする」「蟻の道雲の峰よりつづきけん」。いやはや、まったく一茶という人は、小動物と会話することにかけては、ほとんど超能力と言ってもよい感覚を持っています。
それは美しい花でもなく、詩情を誘う夕暮れの風景でもありません。一茶には、小さな虫や生物が目の前にいることが、この世に共生するものとして、たまらなく嬉しいのでしょう。
(聡)
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