米国務省、ロシアでの法輪功弾圧に「深い懸念」
米国務省は9日、ロシアの裁判所が8日、現地の法輪功団体への取り締まりを決定したことに、「深く懸念する」との声明を発表した。同省は、ロシア政府に対して、人権と基本的自由を制限する慣行をやめ、法輪功学習者を含むすべての人々の信教の自由を尊重するよう呼びかけた。
声明は、「われわれは、ハカシア地方の法輪功学習者を『過激派』と決めつけ、学習者らの信仰とその平和的な実践を犯罪とするロシア裁判所の決定について、深く懸念している」とし、「ロシア当局は、瞑想、あるいは信仰の書籍の所持など単純な行為に対して、法輪功学習者に嫌がらせ、罰金、そして投獄を行っている」と非難した。
また、「われわれは、ロシア政府に対して、『過激派』という呼称を乱用した人権と基本的自由の制限をやめるよう求める。われわれは、ロシア政府に対して、法輪功学習者やロシア国内の他の宗教的少数派のメンバーを含めて、すべての人々の信仰の自由の権利を尊重するよう引き続き求める」と声明は示した。
ロシアの法輪功学習者によると昨年、法輪功を習いたい同国シベリアのハカシア共和国の住民に、学習者が法輪功の主要書籍『転法輪』を渡した。1カ月後、地元検察当局はこの学習者を逮捕・起訴した。
地裁は当初、検察側の訴えを退けたが、判決に不服のある検察側が控訴した。高等裁判所は、すでにハカシア共和国政府に登録を行った法輪功への取り締まりを決めた。これを受けて、法輪功学習者は上告した。ケメロヴォ(Kemerovo)市の裁判所は審理した結果、控訴審の判決を維持した。
中国当局とロシア政府は2001年、中露善隣友好協力条約を締結した。現地の法輪功学習者によると、同条約が結ばれて以降、ロシア政府が法輪功学習者への圧力を強めた。
2007年、ロシアの入国審査官は、難民認定を受けた法輪功学習者の馬慧さんとその8歳の娘を中国に強制送還した。2人の行方は今もなお不明のままだ。これまで、このようにロシアからの退去を余儀なくされた学習者は10人以上にのぼる。
1999年以来、法輪功は中国共産党から弾圧を受けている。中国にいる学習者は、信念を貫くために、投獄、強制労働、精神病院での拷問、さらには生きたままで臓器を摘出されるなど厳しい境遇に置かれている。
一方、法輪功学習者を応援しているロシアの地方政府もある。今年5月29日、シベリア南東部の町、アンガルスク市は、市政府成立70周年の記念イベントに法輪功学習者を招いた。
(翻訳編集・張哲)