銀メダルを獲得した中国の肖若騰選手、金メダルを獲得した日本の橋本大輝選手、銅メダルを獲得したロシア・オリンピック委員会のニキータ・ナゴルニ選手(Laurence Griffiths / Getty Images)

日本選手を中傷する中国ネットユーザー 背後に「不公平オリンピック」印象操作する中共政府

東京五輪で数々の好成績を残す日本選手団。しかし、いわれのない誹謗中傷がSNSに書き込まれ、アスリートたちの心を傷つけている。女子個人総合決勝で村上茉愛(24)は、日本勢最高位の5位につけた。笑顔だった村上は、SNSでの中傷について記者団に聞かれると、「すごく残念、悲しい」と吐露し、大粒の涙を流した。

こうした嫌がらせを受けているのは、村上だけではない。伊藤美誠との混合ダブルスで日本卓球史上初の五輪での金メダルを獲得した水谷隼も、28日、自身のツイッターで、「かの国から」とぼかし、攻撃的な内容のメッセージが来ていることを報告した。体操男子の個人総合で金メダルを獲得した橋本大輝や、サーフィン男子の五十嵐カノアもその経験があることを明らかにしている。

ツイッターや動画共有サイトYouTubeには、日本選手の競技の審査結果を否定する投稿が相次ぎ、なかには侮辱的な編集画像などもある。これらの表現には、不自然な日本語や英語、中国本土の簡体字を使用した中国語アカウントから多いことが確認できる。

中国SNS微博には、日本選手の勝利を受け入れ難いとするクレームがあふれている。中国のアスリートもこの問題を知り、中傷をやめるよう呼びかけている。橋本と同じ競技の舞台に立った体操銀メダリストの肖若騰は29日、自身の微博に橋本らメダリスト3人の写真を添え、「あまり選手を攻撃しないで。選手たちは皆すばらしく、目標に向かって努力し、非常に励みになる」と書き込んだ。

「不公平オリンピック」 印象操作する中国メディアや政府系SNSアカウント

これらの中国ユーザーの負の感情の背景には、中国メディアや政府系SNSアカウント、暗躍する世論工作員の存在がある。これらの印象操作を受けて、中国ネットユーザーは東京五輪では日本偏重のジャッジが行われていると思い込んでいるようだ。SNS微博では「中国体操チームが受けた不公平」が上位検索ワードになった。

中国共産党の青年組織「共産主義青年団」の安徽省委員会は微博のアカウントで、日本と中国選手が対戦する競技の加工動画をあげて「日本選手は明らかに違反した」「見て見ぬふりしていいのか?」などと書き込んだ。

台湾師範大学の東アジア研究科の林賢参教授は、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、ネットユーザーの攻撃性は、昨今の中国外交官による好戦的な姿勢「戦狼外交」からも影響しているのではないかと指摘する。

林教授によれば、中国のネットユーザーは相手の立場を考えず、一方的に「不公平な扱いを受けた」とみなして、なりふり構わず自分の意見を強く主張する。「中国政府の戦狼外交と、個人的な反応の両方は、負のスパイラルの中で互いに刺激しあっている」と語った。

中国事情に詳しい、東京大学大学院総合文化研究科の阿古智子教授は、多くの日本人は中国のネットユーザーの行動に不快感を抱いており、「中国はひどい」というネガティブな印象を持っているとRFAに語った。

「五輪のアスリートたちは、理由もなく数々の中傷を受けた。これらのコメントの多くは、中国政府に雇われたオンライン言論を誘導する『五毛党』などによるもの、との報道もある」と阿古氏は述べた。また、党の世論扇動によっていたずらにナショナリズムが高まり、相互の感情悪化に結びついていると指摘した。

阿古氏によれば、日本ではオンラインにおける誹謗中傷の対応を強めており、多くの日本人はネット上で、中国ネットユーザーのバッシングに反論して対処に努めているという。

実際、日本政府は、今回の五輪アスリートに対するSNSを使った誹謗中傷の制止を呼びかけている。加藤勝信官房長官は29日の記者会見で、「差別的な書き込みなどあってはならない。五輪憲章でも人種差別などが禁止されている」と強調した。丸川珠代五輪相や国際オリンピック委員会(IOC)も30日、中傷を止めるよう呼びけた。共同通信によれば、警視庁も被害届が出れば対応する方針を示している。

こうした心を傷つける意図のある書き込みには、強力な対応が必要だとの見方もある。福井大学教授で国家基本問題研究所企画委員の島田洋一氏は、「(中傷的な書き込みの中止を)呼びかけて態度を改めるような殊勝な人間は、そもそも匿名での卑劣な書き込みなどしない。悪質な事案は刑事事件として逮捕、起訴し、抑止力を働かせていかねばならない。首相がそうした方針を明らかにし、直ちに対処するよう担当大臣や補佐官に指示すべきだ」と主張した。

(翻訳編集・王君宜、佐渡道世)

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