中国当局のネット企業取り締まり「党の支配は全てを凌駕する」=米メディア
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは7月27日付の編集部名義の記事で、中国当局が民間企業を相次ぎ取り締まっていることに言及し、「共産党の支配は常に投資家の利益よりも優先されることだ」と指摘した。
同社説によると、「今週、中国株が急落し、欧米の投資家は驚いた。中国の習近平国家主席は何年も前から、中国の民間経済を国家の管理下に置くことを計画していたが、今回ウォール街は、彼が有言実行の人だとついに気づいただろう」
その最新事例として、中国当局がした教育サービス企業に対する厳しい新規制の発表を例に挙げた。
新規制では、学校教科の個別学習指導を提供している全ての機関が非営利団体として登録することを求められ、また新たな営利団体としての設立を禁止し、新規上場も資金調達も禁止した。さらには、外国からの同業界への投資まで禁じ、外国によるカリキュラム設計および中国国外の教師によるリモート授業も禁止した。
中国の中産階級の親たちは子供の教育に積極的に投資している。そのため、オンライン教育市場は非常に人気がある。外国の投資家もニューヨークや香港の株式市場に上場している教育関連の中国株を買うことで利益を上げているとしていた。
中国政府がこの新方針を打ち出したことで、教育業界に衝撃が走り、関連企業の株価が急落した。
「欧米の投資家は徐々にその原因を理解し始めているようだ。民間教育業界への取り締まりは、表面的には少子化の一因とされる家計の教育費負担の軽減が狙いのように見えるが、事実上、これは共産党の政治的支配である」
「党は、中国の学生が何を学び、誰に教わるのかを管理したいと考えている。そのため、党は、外国人が中国の民間企業を通じて中国人学生のためにカリキュラムを書くことを容認できない」と社説は指摘した。
中国当局による民間企業への政治的抑圧は、外国人投資家にとって周知のことになりつつある。
習近平政権による国内大手インターネット企業に対する広範な取り締まり
中国の配車サービス最大手、滴滴出行(ディディ)は6月に米国での新規株式公開(IPO)を完成し、44億ドルの資金を調達したが、中国当局は直後、滴滴への取り締まりに乗り出した。滴滴の株価急落で投資家は多大なる痛手を受けた。
「北京は、国内大手インターネット企業が中国市民のデータを収集し、そこから利益を得ることに神経を尖らせている。なぜなら、これらのデータベースを保有できるのは党だけと考えているからだ」と社説は指摘した。
中国電子商取引最大手アリババグループの創業者・馬雲(ジャック・マー)氏はかつて中国の監督当局や銀行を公然と批判した。その発言が災いとなり、傘下の電子決済サービス「アリペイ」を運営するアント・グループの上場が一時延期される事態を招いてしまった。
「習氏のシグナルは、中国の経済や政治に対する党の支配力を損なう民間の競争相手を容認しないことだ」
「習氏の指導の下で、経済改革は今まさに後退していることを物語っている。当局は恣意的な規制を乱発させ、外国人投資家が損害を受けようが気にも留めていない」
「今週の最大の敗者はウォール街だが、長期的に見れば、最大の敗者は中国の人々だ。なぜなら、中国政府がかつて承諾した国内経済開放脅威への流れが、今、脅威にさらされているからだ」と社説はこう締めくくった。
(翻訳編集・李凌)