【古典の味わい】貞観政要 10
高句麗への遠征軍が、激戦を終えて帰還してきた。
戻ってきた大軍が柳城(河北省熱河)へ宿営したとき、太宗は詔(みことのり)を発して、戦死した将兵の遺骸を集め、肉料理をふんだんに供えた祭壇を設けて、戦没者を慰霊する祭祀を行わせた。太宗も、おん自ら祭壇の前で哭し、死者への哀悼を尽くした。部下の軍人たちで、涙を流さないものはなかった。
祭祀の様子を目にした兵士たちは、郷里に帰ってから、戦死者の父母に細やかに語った。父母は「戦死した我が子のために、天子様があつく哭礼を行ってくださった。子が死んでも少しも恨むところはありません」と言った。
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