衰退止まらない「一帯一路」中国余力なく 貸付額はピーク時から大幅低下
複数の報告書によると、近年、国内外における精査が強化されている現状に伴ない中国政府が一帯一路(OBOR)事業を縮小している可能性がある。専門家等の見解では、新型コロナウイルス感染症パンデミックにより中国側が労働者や設備を安全に運搬することが困難になっているだけでなく、一帯一路インフラ開発事業における契約内容と実現し得る実際の成果について事業受入国がより熱心に比較評価を実施するようになったことで中国にとって負の要素が増加している。
労働権利団体「チャイナ・レイバー・ウォッチ(CLW)」の報告書によると、一帯一路事業は劣悪な労働条件や安全性の欠如、場合によっては強制労働の問題という面でも評価が低下している。同団体の2021年4月報告書には、パンデミック発生以来、数十万人の中国人移民労働者が海外で立ち往生し、権利を侵害された実態が示されている。
同団体の報告書には、「当団体が取材した労働者の中には、パスポート差し押さえ、移動の自由の制限、1日12時間・週7日間という過酷な労働時間、休暇手当皆無、賃金未払、査証の不正発給、詐欺的な雇用と虚偽の約束、地域社会からの孤立、威嚇と脅迫、退職に対する厳しい罰則、医療制度の欠如、劣悪な生活環境と労働条件、不十分な労働保護と安全手順、合理的な苦情処理システムや機構の欠如、言論の自由の制限、抗議者に対する厳しい罰など、広範にわたる権利侵害が発生している」と記されている。
関連記事
インドネシア政府は、総額73億ドルを投じた「フーシュ(Whoosh)」高速鉄道プロジェクトをめぐり、北京との間で緊急の債務交渉を行っている。
中国が進める一帯一路のインフラ事業を巡り、参加国から不満や反発が相次いでいる。一帯一路は過去の案件への追及に縛られ、かつての『世紀の事業』から『世紀の重荷』へと変貌しつつある。
中国の三峡ダムが一帯一路参加国に広がっている。建設計画を詳しく調べると、ダム建設による利益はほとんど無いに等しく、国の威信や政治的圧力、宣伝効果のために建設が進められたものが大半を占めるという。
米国との貿易摩擦が一時的に緩和する中、中共は南米における影響力の拡大を継続しようとしている。
設計改ざん、署名偽造、基準未満の建材使用──中国主導の粗悪インフラ輸出