米国グランドキャニオンの未解明の謎

グランドキャニオンは、雄大な景観で世界的に知られています。このグランドキャニオンは、約20億年にわたる地球の地殻変動を刻み、世界遺産としても登録されています。グランドキャニオンの有名なの一つは、これらの堆積岩の中に痕跡のない10億年という長い期間があるということです。

米国アリゾナ州北西部に位置するグランドキャニオンは、コロラド川が数百万年かけて侵食され形成されました。総延長446キロ、深さは平均1200メートル、幅は6.4キロから29キロです。いくつかの場所は、堆積岩が上下2つに分けられ、上部の堆積岩は通常の水平な層の縞模様、下部の堆積岩は垂直方向の縞模様という特異な現象が見られます。これらの調査により、上層の形成は約5億2000万年前、下層の形成は約14億から18億年前とされています。

新しい研究の主な著者である米コロラド大学ボルダー校の地質学者バラ・ピーク氏は、次のように述べています。「底面では、岩石が隙間なく詰まっていて、垂直方向に層状になっていることがわかる。 その上には、はっきりとした境界線があり、グランドキャニオンで最も一般的な丘の上にあるような岩石層の水平分布が見える」

1869年に地質学者により、グランドキャニオンが発見されてから以来、なぜ年代が大きく異なる2つの層状の岩石が緊密に組み合わされるのか、科学者たちは疑問を抱いてきました。

約10億年の間に形成された岩石層はどこへ行ってしまったのでしょうか。

8月12日に『地質学(Geology)』誌に発表されたこの研究では、一つの可能性を示唆しています。それは、熱年代学(thermochronology)という手法を用いて、多様な化学成分を分析することによって、岩盤が形成される際の温度を測定することができるということです。

研究で収集されたデータによると、10億年の期間に大きな地殻変動が何度も起こり、層状の岩石が上下に大きく移動したことが分かりました。 これは、グランドキャニオンの底部にある地層の一部の垂直な連なりを証明しています。 また、その時期の堆積岩の大半が、海に滑り落ちていった可能性が高いと考えられています。

これらの変動が起こった時期は、ロディニア大陸説の状況と符合します。ロディニア大陸説では、赤道付近に集中した1つの巨大な大陸、ロディニア大陸が存在していたと推測しています。この大陸は約6億3300万年前から7億5000万年前に分裂し、この分裂の過程は非常に激しいものでした。

研究者は、グランドキャニオンの西半分の岩石層サンプルは、東半分の岩石層サンプルとは全く異なる地質変化を遂げていることを発見しました。グランドキャニオンを旅行する大部分の人々は、グランドキャニオンの東側の景観を見ます。「グランドキャニオンの東側と西側は、同じ温度の歴史的時期のものではない」とピーク氏は言います。

この研究で提示された一つの証拠は、グランドキャニオンの西側の岩盤が約7億年前に地下から地上に隆起したように見えるのに対し、東側は、同時期の岩盤が今も地下数キロに埋まっています。

グランドキャニオンは、その景観の美しさだけでなく、考古学的価値の素晴らしさにもあります。「他では見られない地質学的な手がかりが多くある」とピーク氏は言います。

(翻訳・源正悟)