スペイン・バルセロナにあるサグラダ・ファミリアは、1世紀以上にわたり建設が続けられているが、いまだ未完成のカトリック教会である。10月30日には、教会の中央塔の一部が吊り上げられて設置され、サグラダ・ファミリアは世界で最も高い教会となった。
AP通信の報道によると、サグラダ・ファミリアの声明では、現在の高さが162.91メートル(534フィート)に達したと発表した。これは、これまで世界一高い教会であったドイツのウルム大聖堂の161.53メートル(530フィート)をわずかに上回るものである。
ウルム大聖堂は、1543年から1890年にかけて建設されたゴシック様式のルター派教会であり、1890年以降、世界一高い教会の座を保持してきた。しかし今回、約1メートル強の差でその称号をサグラダ・ファミリアに譲ることになった。
なお、サグラダ・ファミリアの高さは今後さらに増す予定である。教会頂部に建設中の「イエス・キリストの塔(Tower of Jesus Christ)」が今後数か月以内に完成すれば、全高は172メートル(564フィート)に達する見込みである。30日午前、クレーンによって「イエス・キリストの塔」の最初の部分をサグラダ・ファミリア中央の頂上に設置した。
サグラダ・ファミリアは、スペインの著名な建築家アントニ・ガウディが設計し、1882年に着工して以来、すでに100年以上が経過している。主要部分は来年中に完成する見通しであるが、全体の完成にはさらに約10年を要するとしている。
ガウディが1926年に事故で亡くなった時点では、計画されていた18本の塔のうち、完成していたのは1本のみであった。その後、建設作業はサグラダ・ファミリア財団によって管理され、資金は観光客、見学者、そして個人の寄付によって賄われている。
観光面では、昨年490万人が同教会を訪れ、そのうち15%がアメリカからの観光客であった。これらの観光客が支払う入場料が、現在も進行中の建設工事の資金源となっている。
ガウディの死以外にも、この教会は約150年に及ぶ建設の過程で多くの困難に直面してきた。たとえば、スペイン内戦中にはカタルーニャの無政府主義者によって地下室が放火され、ガウディが制作した将来の建設に不可欠な図面や石膏模型が焼失した。
また近年では、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により建設作業が停滞した。財団の関係者は観光業の低迷とそれに伴う資金減少を原因として挙げている。
今年9月、サグラダ・ファミリアの総支配人であるシャビエル・マルティネス氏はAP通信に対し「イエス・キリストの塔」は2026年に完成する予定であり、その年はガウディの没後100周年にあたると述べた。同教会ではこれを記念するさまざまな行事を開催する予定である。
サグラダ・ファミリアは、そのそびえ立つ姿と独創的な建築デザインによって、バルセロナで最も知られる観光名所の一つであり、ユネスコの世界遺産にも登録されている。
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