米上院外交委、アフガン撤収巡り国防長官の証人喚問検討=公聴会
[ワシントン 14日 ロイター] – 米上院外交委員会のボブ・メネンデス委員長(民主党)は14日、アフガニスタンからの駐留米軍撤収について証言を得るために、必要に応じてオースティン国防長官ら政権幹部を証人喚問する姿勢を示した。
この日はアフガニスタンからの駐留米軍撤収について、ブリンケン国務長官が前日の下院外交委員会に続き、上院外交委員会の公聴会で証言を行った。
メネンデス委員長は「国防総省の関与なくして、この危機に対する米国の対応を完全に明らかにすることはできない。特に米国が訓練し資金を提供したアフガニスタン軍の完全な崩壊の理由を理解するには、国防総省の関与が必要だ」とし、「オースティン長官は近い将来に上院外交委員会に出席すると予想している。出席しない場合は、オースティン氏らを証人喚問し、これまでの20年間に起きたことに関する証言を要請することを検討する」と述べた。
これについて国防総省報道官は、オースティン長官は他の予定があったためこの日の公聴会には出席できなかったと説明。9月下旬に上院と下院のそれぞれの軍事委員会で証言を行う予定になっていると述べた。
メネンデス氏はその後MSNBCに対し、そうした予定があっても、オースティン長官の外交委員会での証言を望むと語った。
この日の公聴会で、メネンデス委員長はアフガニスタンからの米軍撤収には「明らかに致命的な欠陥があった」と指摘。ブリンケン氏に対し、アフガニスタンからの退避に十分な時間を確保するために米軍撤収期限を延期しなかった理由などについて、共和党だけでなく民主党からも鋭い質問が続出した。
ブリンケン長官は、イスラム主義組織タリバンが急速にアフガニスタンを制圧し、米国が支援したアフガニスタン軍が「11日で崩壊」するとは予想していなかったとし、「これで全てが変わった」と証言。バイデン政権は、米国が支援するアフガニスタン軍による主要都市の防衛計画を策定するよう呼び掛けたが、実現しなかったと述べた。
上院外交委員会の共和党トップ、ジム・リッシュ議員は、バイデン政権がタリバンとの関係正常化を目指している可能性があると懸念しているとし、アフガニスタンに対する人道支援の再開計画を「極めて深く懸念している」と述べた。
その上で、タリバンは米軍がアフガニスタンに残してきた軍事物資を入手したことで「世界で最も強力なテロリスト組織の一つになった」とし、どのように着飾ってもタリバンの本質は変わらないとの考えを示した。
ブリンケン氏のほか、多くの民主党当局者は共和党のトランプ前大統領がタリバンと米軍撤収について交渉したと指摘。こうした中、下院外交委の共和党トップ、マイケル・マコール議員はブリンケン氏の前日の証言後、米軍撤収についてCNNの元ジャーナリストに調査を委託したと明らかにした。