恒大集団の債務問題、専門家「不動産業全体と金融業界にも崩壊の危機」
中国不動産開発大手、恒大集団の理財(資産運用)プラットフォーム、恒大財富の債務不履行(デフォルト)は、恒大集団の債務危機をより一層深刻化させている。専門家は、同社の経営悪化は中国の不動産市場だけでなく、中国経済に危機をもたらしている。
8日、恒大財富の理財商品を巡って償還遅延などが報じられた。同商品の投資者の多くは恒大集団の従業員だという。従業員と他の個人投資家はこのほど、抗議活動を行い、元本などの返還を求めている。
恒大集団の創業者で会長の許家印氏10日、「満期を迎えた理財商品に関して、できるだけ早く返済する」と話し、「恒大は未曽有の苦境に直面している」と述べた。
恒大集団の8月31日の公表によれば、6月30日時点で、同社の負債総額は過去最高の1兆9700億元(約33兆5200億円)。同社はデフォルトの可能性を示唆した。また、ブルームバーグの報道では、恒大集団と子会社が抱える74億ドル(約8111億円)規模のドル建て社債は2022年に満期を迎える。
金融情報サービスREDDは8日、情報筋の話として、恒大集団は9月21日に実施する予定の銀行2行からの借り入れの利息支払いを一時停止すると報じた。同社の理財商品への支払いも8日から停止する可能性があるという。
中国経済への打撃
米ノースカロライナ大学の謝田教授は12日、「恒大集団の債務問題と利息支払い停止との報道からみれば、同社が破たんに直面していることがわかる。同社は債務超過に陥っている。投資家は資金を取り戻せない可能性が高い」と大紀元に語った。
恒大集団は中国国内の不動産開発大手として、200以上の都市で事業を展開している。今月2日、同社はサプライヤーや下請け企業への支払いを遅延し、一部の不動産開発プロジェクトをストップしたと公表した。
謝氏は、「恒大集団が倒産すれば、国内の銀行や金融機関、他の不動産企業も危うくなる。不動産業界全体の崩壊の可能性もある。中国当局は今、その対応に頭を抱えているだろう」とした。
同氏は「元本ではなく、利息の支払いを停止したというのは、実際にデフォルトになったと言ってもいい。債務整理という問題もすでに生じている。中国経済にとって灰色のサイとなった」と述べた。
「今、銀行側の対応に注目すべきだ。恒大集団の資産が競売に掛けられることによって、同社が持つ不動産、住宅なども大量に売られると想像できる。この影響で市場価格が大幅に下落するだろう。銀行や他の不動産企業、業界全体がドミノ倒しのように破たんする」
恒大集団は昨年9月7日~10月8日まで、全国各地の住宅物件に関して、販売価格の3割引きで販売していた。当時、一部の専門家は同社の資金繰り難を指摘した。
中国ポータルサイト「騰訊網」の6月25日の報道では、中国国内の一部の地域では、恒大集団は販売価格を5割引きして物件を販売していた。
謝教授は、恒大集団と同じ状況の不動産開発会社が多くあると示した。
「これらの企業は、債務返済のために負債する。負債規模があまりにも膨れ上がりすぎて、返済できなくなっている。親会社が倒産になれば、子会社も一緒に潰れるのだ」
「不動産業界は1000行以上の銀行と深くつながっている。中国当局はこの危機をどう乗り越えればいいかがわからない状況だ。救済しようとしても、救済し切れない。救済しなければ、不動産業界も銀行業界も崩壊する」
中国メディア「21世紀経済報道」13日付によると、広東省佛山市南海区の住宅管理当局は、恒大集団の物件をめぐる「リスク回避」として、区内の金融機関に対して、同社の物件による銀行での不動産抵当権設定登録の手続きを受理しないよう要求した。この措置では、南海区の恒大集団の関連企業は、銀行に不動産物件を抵当に入れて融資を申し込むことができない。また、市民が恒大集団の住宅物件を購入したくても、銀行の住宅ローンを申し込めないという。
(翻訳編集・張哲)