このほど、研究者たちは、世界中から集めた200万枚以上の衛星画像を駆使して、世界中のサンゴ礁の包括的なオンライン地図を発表しました。
研究チームが9月8日に発表したサンゴ地図プロジェクト「アレン・コーラル・アトラス」は、この種の地図としては世界初の高解像度地図で、サンゴはもちろんのこと砂、岩、海草など、さまざまな種類の海底構造物を含むサンゴ礁に関する詳細な情報をみることができます。
米マイクロソフト社の共同創業者である故ポール・アレン氏の財団が900万ドルを支援した同地図プロジェクトは、失われつつある脆弱な生態系を救おうとする研究者や地域協力者の協力によって完成しました。
地図は、水深50フィート(約15メートル)までの状況が反映されているため、海洋保護区、埠頭や防潮堤などのインフラの空間計画、そして今後のサンゴ再生プロジェクトなどの政策決定に活用できます。
地図プロジェクトの管理責任者で、アリゾナ州立大学地球発見・保全センター代表であるグレッグ・アスナー氏は、「初めてサンゴ礁の生体群全体を統一的にマッピングしたもの」とAP通信にその成果を述べました。
「サンゴ礁に関する地域情報を提供してくれる何百人もの現地協力者の情報網が頼り。これまでは非常に局所的なものでしたが、今まで以上に広範囲に活動の場を広げることができます」と話しました。アスナー氏は、国連や、数百もの島嶼を抱える国の決定にも役立つ資料だと話しました。
このアトラスには、地球温暖化などの影響でストレスを受けているサンゴを確認する、サンゴ白化モニターも含まれています。
アスナー氏によると、世界のサンゴ礁の約4分の3は詳細な地図が作成されておらず、多くは全くマッピングされていなかったとのこと。
地図プロジェクトに関わるオーストラリアのクイーンズランド大学は、人工知能技術と地域データを用いて、地図のレイヤーを生成しました。
研究者たちによると、問い合わせの3割は研究者からで、「自分たちの計画やサンゴ礁の修復作業が最大限の効果を発揮できるか確認したい」と考えているそうです。
多くの方の熱意と協力のもとに出来上がったこの地図が、サンゴの保護活動や研究に役立ってくれるでしょう。
(照井美沙)
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