新疆ウイグル自治区ホータンにある「再教育キャンプ」、監視塔らしき建物に人影がみえる(GREG BAKER/AFP via Getty Images)

中国共産党は「自白」をさせるために年間数千人を隔離収容

10月の人権団体による発表では、中国共産党が平和的な反体制派を標的とした国家による誘拐システムの一環として年間数千人を拘束している。 

セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)の「指定居所における居住監視」(RSDL)に関する報告書によると、当局は2013年に開始して以来5万7000人以上の人々をこの制度下で拘留してきたと述べ、弁護士と面会することなく最大6ヵ月間拘束される可能性がある拘留者から「自白」を引き出すために使用される残酷な尋問と拷問のシステムについて詳述した。

 報告書では2020年10月から2021年4月にかけての6ヵ月間にRSDLによる拘留中に拷問を受けた人権弁護士の常瑋平(Chang Weiping)氏の事例が挙げられた。 

常氏の弁護士が9月に語ったところによると、常氏は弁護士と面会するまで1年近く拘束され、その間6日間にわたって「タイガーチェア」と呼ばれる拷問装置に縛り付けられ、食事と睡眠を奪われたという。 

同報告書によると、中国の治安部隊はRSDLを使って反体制派芸術家の艾未未(Ai Weiwei)氏および人権弁護士の王宇(Wang Yu)氏と王全璋(Wang Quanzhang)氏、そして最近釈放されたカナダ人のマイケル・コヴリグ(Michael Kovrig)氏とマイケル・スペーバー(Michael Spavor)氏をも拘束し尋問している。

 このシステムは極秘扱いされており、被害者が孤立・隔離されるような場所に加え様々な施設で行われている。 

セーフガード・ディフェンダーズの研究者である陳彦廷(Chen Yanting)氏は、「彼らは極秘の施設に被疑者を拘束し、外部との接触を遮断し、拘束者がどこにいるかをだれにも明らかにしないための大きな権限を警察に与えています」と述べている。

陳氏は、「彼らは消滅したようなものです。 このような拘束の規定上の上限は6ヵ月ですが、実際には4年間も続いたケースもあります。基本的に中国の警察と国家治安警察は恣意的・監視なしで人々を失踪・拘束して、犠牲者は『自白』を強要させる拷問を受けており、これは裏監獄のシステムです」と述べている。 

陳氏は中国共産党によるRSDLの使用やその他の人権侵害を非難するよう国際社会に呼びかけた。 中国で禁止されている政治書を香港で販売したとして中国本土で拘束された後に台湾に逃亡した香港の書店マネージャー林栄基(Lam Wing-kee)氏は、東部の寧波市にある同様の施設に6ヵ月間拘束されたという。 

この施設は拘束者が自殺や自傷行為をしないように設計されていると彼は述べている。 林氏は、「歯ブラシは非常に小さく飲み込めないように紐に取り付けられていて、壁やテーブルと椅子の角はすべて緩衝材が付いています。彼らは拘束者がテーブルの角や壁に頭をぶつけて自殺を図ることを恐れています。 別の言葉で言うと、彼らは多くの経験を積んでおり、すべての施設にはこの種の防護設備が備わっています。中国共産党は拘束者たちの心理的な状態を知っています。 時間を問わず常に監視されていて、拘束者が眠ろうとしていても電気を消すことはありません」と述べている。  

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