台湾パイナップルをその場で頬張る、蜜香紅茶の故郷、陛下献上の伝説のコーヒー 花蓮瑞穂郷の観光の穴場【ディープな台湾探見】

同じシリーズ

今日は台湾の東部花蓮県の瑞穂(ルイスイ)郷へやってきました。瑞穂郷は瑞穂牧場で生産している牛乳による「乳香」、郷内の舞鶴(ブカク)台地で広く栽培されているお茶の「茶香」及び鉄質を含み、台湾で唯一の炭酸塩泉として知られている黄金温泉の「温泉香」といった「三香」を有する観光名所です。

もちろん、瑞穂で外せない美食といえば美味しいパイナップルや、秋の文旦(ザボン)、蜜の香りがほのかに香る蜜香紅茶、果実の香りを帯びた老樹コーヒーも忘れてはいけません。

瑞穂郷内にある「富興社区」は台湾でパインナップルの最大産地です。ここのパインの旬は毎年7月から9月頃で、一つ一つの実に黄金色の果肉がぎっしり詰まってジューシーでとても美味しいです。他のものと比べて台湾原種のパイナップルのほうが甘酸っぱさに特長があり、パイナップルケーキを作るのには最適です。

地元の住民が提供した約12ヘクタールのこの広い土地は、農村再生に向けた地方政府からの財政支援などを受け、ここ「富興社区」は低炭素グリーン産業地域とレジャースぺースに開発されました。

今、ここにはパイン畑、森、湖のそばを観光用列車が走っていて、訪れた客は列車に乗り、豊かな自然を楽しめます。

途中、パイン畑に列車が止まります。すっかり熟したパイナップルを摘み取り、その場で頬張ることができますよ。

さて、ここで販売されている「パインナップルかき氷」を食べたことがありますか?余計なものはいれず、冷凍パインナップルの果肉を1玉まるまるかき氷器で削ったら、雪のような淡い黄色の氷が削られます。口に入れるとさっと溶け、口の中に爽やかな香りが広がり、パインの甘酸っぱさを心行くまで堪能できます。

花蓮、瑞穂郷を訪れる際は、混雑を避けて穴場観光スポット「富興社区」に出かけるのがおすすめです。

台湾には北回帰線(北緯23.5度)が通り、花蓮県の瑞穂郷と豊浜郷、嘉義県水上郷、また離島である澎湖県虎井嶼4ヶ所に北回帰線の記念碑が設けられています。

中でも瑞穂郷にある記念碑は1933年に世界で二番目に古いものとして設立されたもので、その当時は瑞穂駅の西側にあったそうです。記念碑は1981年に東部鉄道の拡張工事により、瑞穂郷内の舞鶴村へと移され、現在、白色の日時計の形をする標塔が茶畑に周られる北回帰線公園内に聳えています。公園構内には大きな蜜香紅茶の茶器像もあります。

瑞穂郷舞鶴村は地理的には台湾東部海岸より高い台地に位置しており、気候的には熱帯と亜熱帯を跨いでいます。この辺りならではのユニークな特徴を持った蜜香紅茶、コーヒーをこれからご紹介したいと思います。

台湾で有名なお茶の産地というと、海抜の高い阿里山、梨山、杉林渓、大禹嶺や、盆地の埔里などがあります。

花蓮、台東縦谷の台地もお茶の産地であります。花蓮の舞鶴台地は世界の高級茶、蜜香紅茶が生産されている所で、花蓮地域の蜜香紅茶に製作する特有な種類は大葉烏龍です。

蜜香紅茶は、その名の通り、ふんわりと蜜のような甘い香りの余韻が残るのが特徴です。この香りの秘密というのは、この茶畑に飛んでくるウンカに関係しています。というのもウンカに噛まれた茶葉は甘い蜜の香りを生み出すのです。

自然農法で栽培し、甘い蜜のような香りを放り出す台湾独自な製法で、完全に発酵させて仕上げられたのが銘茶の蜜香紅茶です。

動画で紹介している紅茶とコーヒーの専門店である「舞鶴茶園公主咖啡」の女主人は、花蓮原住民の人口で多く占めている「阿美族」とゆかりが深く、「阿美族」の女王の服を着用し、地元栽培の蜜香紅茶をうまく宣伝し、2006年に花蓮のお土産大賞で優勝を果たしました。

彼女はこの服装であれば、ここの原住民を代表するし、明るいイメージも与えられ、また花蓮の農産物を広く売ることができ、農家に収益をもたらせる斬新な発想ではないかと語っています。

近年、多くの若者が喜んで故郷へ帰ってくるようになり、地元の特産物の栽培で地域振興しようと新しい力が注がれています。

蜜香紅茶を飲むなら、寝かせた蜜香紅茶のほうがおススメのようです。貯蔵すればするほど、茶色が次第に薄くなり、香りと甘みがさらにアップします。その円やかな舌触りはまるで砂糖を加えた味わいのようです。まるで老酒みたいですね!

ここに来たら、蜜香紅茶を甕(かめ)に密封してみましょう。女性なら「女児茶」を、男性なら「状元茶」と名付けた甕を持ち帰り、何年か経ってから開けて飲んだら、熟成された茶がどんな味わいになるか期待が膨らむに違いありません。

蜜香紅茶と同じく有名な農産物はコーヒーです。舞鶴は台湾東部の珍しい赤い土を有する台地に位置し、紅葉渓と秀姑巒渓が合流し、また北回帰線も貫いているといった良い栽培条件が揃い、良質のコーヒーができます。

日本植民地時代において國田正二氏がアラビカ種コーヒーを舞鶴に導入したことをきっかけとして、台湾総督府の台湾東部でコーヒー栽培事業が進められました。当時、獲れたコーヒーは高い評価を受け、日本にも出荷され、ロイヤルファミリーにも献上されるまでになったそうです。しかし、第二次世界大戦の勃発に伴い、コーヒー農園の維持は次第に困難になり、終戦とともに終わりを告げました。

舞鶴には「百年コーヒー樹」が台地の外郭に数本か残っています。今、農園にあるコーヒーの木はほとんど百年コーヒーの株から伸びて二代目の親株を経て、三代目の孫株として植え替えられたものです。

この「百年コーヒー」と舞鶴の名物でもある文旦(ザボン)を結び付けたコーヒーはフルーツの香りを帯び、新感覚な味も創造されています。

百周年を迎えて、台湾産のコーヒー及びコーヒーの「開拓」文化はこの地で保存され、代々受け継がれていくこととなりました。台湾東部の「百年コーヒー」のよい香りも未来へ漂い続けていくことでしょう。

皆さんも大自然の力で生み出された、甘酸く濃厚な香りが漂うパイナップルや、魅惑的な甘い香りのする蜜香紅茶、フルーツの芳醇な香りをもつ「百年コーヒー」の味わいをぜひ楽しんでください。

――新唐人亜太テレビ局ネットより転載

(翻訳編集・蘇燕)