トロイの木馬のお話(4)
この男は海の上のギリシャ軍に少しも驚きませんでした。すべてが彼のコントロール下にあるように思えたからです。その時、壁の隙間から松明(たいまつ)を取り出し、松脂(まつやに)の入った籠の中に慎重に投げ入れました。すると籠から赤い炎が立ち上り、壁の向こうの広場と男の顔を照らしました。
その男の目は赤く、顔は赤く腫れ、傷だらけで、左耳は半分に切られていました。そうです、この男はシノンです。
この頃になると、ギリシャ軍船の明かりがはっきりと見えるようになりました。シノンは急いで壁を降りて木馬に近づき、短刀の背で前脚を三度叩くと、すぐに馬の中から鎧のぶつかり合う音が聞こえてきました。すると、馬の胸の板がギシギシと音を立てて開き、中から金色に輝く兜をかぶった兵士が出てきました。
関連記事
数百年を生きるグリーンランドサメの目は、200歳を超えても衰えていなかった? 最新研究で判明した、老化しない網膜と強力なDNA修復機構の驚くべき実態とは。人間の視力低下を防ぎ、加齢に伴う眼病治療の未来を変える潜在能力に迫ります
良い人生とは何か。快楽、意味、徳という古代哲学の問いを、炎症や寿命、細胞の反応から見つめ直します
非利き手で歯磨きや文字書きをすると、脳はいつもより働きます。集中力と神経可塑性を高める小さな習慣を紹介します
茶道に息づく「一期一会」の精神を、日常の何気ない所作や東洋思想の「仁」と結びつけて紐解くエッセイ。二度と戻らない「いま、目の前の瞬間」に全身全霊で向き合うことの尊さを静かに問いかけます
食事抜き、睡眠不足、トイレの我慢。忙しい人が見逃しがちな過労のサインと、体を守るセルフケアを紹介します