食中毒などの食品由来の病気はたびたび発生しています。こうした病気の調査を仕事にしている専門家に「自分なら何を食べないか」と尋ねてみると、そのリストは意外に短く、驚くような食品も含まれています。
アメリカ『タイム』誌の記事によると、多くの専門家は、どんな食品にもある程度のリスクはあると話しています。大切なのは、そのリスクを負うだけの価値があるかどうかを見極めることです。
アメリカ食品医薬品局(FDA)で食品政策・対応を担当する副長官を務めたフランク・イアナス氏は、食品を単純に「良い」「悪い」に分けることはしないといいます。むしろ、「私はどんなものに対しても、『定量的リスク評価』と呼んでいる方法で考えます。メリットとリスクを比較して判断するのです」と話しています。
それでも、何十年にもわたって食中毒などの集団発生を調査し、なかには自身が食品由来の病気を経験し、それによって人生が大きく変わった専門家もいるなかで、「リスクを負ってまで食べる価値はない」と考えられている食品があります。専門家が避けているものには予想どおりの食品もあれば、今まさにあなたの家の冷蔵庫に入っているかもしれない食品もあります。
以下は、食品安全の専門家たちが繰り返し挙げている、避けたほうがよいとされる食品です。
1.生乳(未殺菌乳)と生乳から作られたチーズ
これについては、専門家の間でもほとんど意見が分かれていません。
食品安全を専門とする弁護士のビル・マーラー氏は、食品由来の病気の集団発生をめぐる訴訟に何十年も携わってきました。生乳を飲んだことによる食品由来の病気で子どもを亡くした家族や、子どもに腎臓障害や神経系の合併症が生じた家族の訴訟も担当してきた経験から、こうしたリスクを負う価値はないと考えています。
「せっかく低温殺菌という優れた技術があるのですから」とマーラー氏は話します。
「リスクは非常に大きいです」と話すのは、ジョージ・ワシントン大学食品安全・栄養安全保障研究所所長のバーバラ・コワルシック氏です。彼女自身も、生乳や生乳から作られたチーズを避けています。「このことは何十年も前から知られています」
2.カンタロープメロン
ノースイースタン大学で食品政策を教える准教授で、『Food Safety: Past, Present, and Predictions(食品安全:過去、現在、そして予測)』の著者でもあるダーリン・デトワイラー氏に、スーパーで売られている農産物のなかでリスクが高いものを尋ねると、迷わず挙げるのがカンタロープメロンです。
「カンタロープメロンの皮を完全にきれいにすることはできません」とデトワイラー氏は話します。表面が網目状でデコボコしているため、包丁で皮を切った際に、表面に付着していた汚染物質が果肉に入り込む可能性があると説明しています。
それでも食べる場合は、切ったらすぐに食べることを勧めています。切ったメロンを室温で2時間以上放置しないことも大切です。また、注意すべきサインとして、長時間放置したカットメロンの表面に、粉砂糖のようなものが現れる場合があるといいます。それは砂糖ではありません。
「病原体が大量に増殖し、目に見える状態になっているのです」と彼は話します。デトワイラー氏自身は、カンタロープメロンをまったく食べないそうです。

3.生ガキなどの貝類
生ガキも、多くの専門家の「食べないものリスト」に入っています。マーラー氏によると、貝類は水中のものをこし取って食べる「ろ過摂食」をする生き物で、水を体内に取り込む際、「水中にある汚染物質も一緒に取り込んでしまう」といいます。水が汚染されていれば、食べるカキも汚染されている可能性があります。
デトワイラー氏は、生ガキを自身が避ける3大食品のひとつに挙げており、マーラー氏も同じ考えです。デトワイラー氏によると、汚染された水域の問題に加え、カキは食中毒などの集団発生とたびたび関連しており、問題が起きた際に感染源を特定することも非常に難しいといいます。

4.巻き寿司
感染症医で「Parasites Without Borders(国境なき寄生虫)」の代表を務めるダニエル・グリフィン医師は、寿司を完全に避けているわけではありません。実際に食べることもありますが、その前に必ず念入りに確認するそうです。魚に寄生する一部の寄生虫は肉眼でも確認でき、色の薄い魚の身の中に、細長い赤色の糸のような虫が見えることがあります。
「Googleで『寄生虫のいる魚』と検索したら、きっと食欲がなくなるでしょう」と彼は話します。食べる前には魚を一切れずつ確認し、巻き寿司はまったく食べないそうです。「中に何が入っているかわからないような巻き寿司は食べたくありません」と話しています。
5.加熱が不十分な豚肉
南フロリダ大学公衆衛生学部の分子疫学者で教授のジル・ロバーツ氏は、豚肉については特に慎重にしているといいます。豚ヒレ肉のような厚みのある肉は、中心部まで十分に火を通すのが難しいため、避けているそうです。
「頭に浮かぶのはトキソプラズマのことばかりです」と彼女は話します。この寄生虫は、加熱が不十分な豚肉を食べることとの関連が指摘されるケースが増えています。
「ですから、私はこうした肉には絶対に手を出しません」と彼女は話しています。
6.もやし
生のもやしも、コワルシック氏が避けている食品のひとつです。もやしはさまざまな食品由来の病気の集団発生と関連しており、「しっかり洗い落とすための有効な方法がほとんどありません」と話します。
その理由は、もやしが育つ前の段階ですでに汚染されていることがあるためです。細菌が種子そのものに付着している場合があり、もやしの栽培に必要な暖かく湿った環境は、細菌が増殖しやすい環境でもあります。水ですすぐだけでは、細菌を確実に取り除くことは難しいとされています。加熱すればより安全に食べられると考えられますが、コワルシック氏は、そうするともやしならではのシャキシャキとした食感が失われてしまうと指摘しています。

7.あらかじめカットされた野菜や果物
あらかじめカットされた野菜や果物も、食品安全の専門家たちが避けている食品です。マーラー氏は、カットメロンのパックや千切りニンジンの袋詰めは便利ではあるものの、その便利さのために食品がどのように扱われたのかを自分で把握できなくなるのは、リスクに見合わないと考えています。「どのくらいの時間置かれていたのかも、使われた包丁やまな板、触れた人の手が清潔だったのかもわかりません」と話します。
コワルシック氏も同じ考えです。あらかじめカットされたものではなく、丸ごとの野菜や果物を購入し、自分で切るようにしているそうです。
8.生卵
マーラー氏によると、現在の卵は20年前に比べてはるかに安全になっていますが、それでも彼自身は生卵を食べません。スーパーで販売されている卵の多くは、低温殺菌されていないと指摘しています。

9.加熱が不十分なハンバーガー
ミディアムレアのステーキとミディアムレアの牛肉のハンバーガーは、一見するとそれほど違わないように思えるかもしれません。しかしグリフィン氏によると、食品安全の観点では、この2つには大きな違いがあります。ステーキの場合、細菌は通常、肉の表面に存在するため、加熱によって死滅させることができます。しかし、同じ肉をひき肉にしてハンバーグ状のパティにすると、細菌が肉の内部まで混ざり込むことになります。
「もともと表面にあった細菌による汚染が、大腸菌であれ、糞便由来の汚染であれ、パティの内部まで混ざり込んでしまうのです」と彼は話します。
そのため、グリフィン氏はハンバーガーを注文するとき、必ずウェルダン(十分に火を通した状態)を選んでいるそうです。
(翻訳編集 解問)
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