中国語で「山薬」という食物があります。日本語ではヤマイモに該当します。山の薬ではありませんが、この食物が滋養に富み、健康に有益であることは日本でもよく知られています。
中国語大紀元に紹介された「日本におけるヤマイモの食べ方」の視点から、ヤマイモのもつ利点を味わってみましょう。
ヤマイモは「神仙の食物」
ヤマイモ類のなかで、スーパーで一番よく見かける「長芋」を例として、以下、お話します。
『本草綱目』によると、長芋の作用は「健脾補益、滋精固腎、諸百病治、療五労七傷」と説明されています。つまり長芋は「脾臓を健やかにしてその力を補い、精を増やして腎臓を堅固にする。その功は百病を治療できる」というほど、いかなる病や怪我にも効く万能薬だと言います。
実際、長芋は「神仙の食物」と呼ばれるほど、昔から伝わる滋養強壮の逸品で、老若男女に適するものですが、特に虚弱体質、糖尿病、胃腸病、心血管疾患の患者に最適の食物です。
日本で愛される「とろろ」
そんな長芋は、日本では家庭料理の定番食材になっています。
日本人は長芋をすりおろした「とろろ」が大好きです。長芋をすりおろして、麺の上にかけたり、納豆やネギなどと合わせ温かいご飯にのせて食べます。この食べ方が広まったのは江戸時代からで、幕府の歴代将軍は精力的で、骨が強くなるよう、とろろを常食にしていたそうです。
将軍の後宮は大奥と呼ばれます。大奥の女性たちは特に容姿の保養に気を使いますので、長芋のもつ不老効果、および精神を安定させ寒気を取り除く効果を求めて、よく食べました。そうした大奥の養生法は民間に広まり、今日の日常食になったとも言われます。
豚汁も立派な「薬膳料理」です
もう一つは、中国に昔からある薬膳料理が日本に伝わって、日本風になった豚汁です。
豚汁は、長芋、大根、ニンジン、ゴボウなどの根菜を、豚肉と一緒に煮込んでスープにする典型的な滋養薬膳です。鰹の出汁をベースにし、日本の味噌で味付けした豚汁は、中国のスープとはまた違った味わいですが、日本人は冬によくこれを食べます。
長芋をふくむ具だくさんの豚汁は、五臓に滋養を与え、精気を養います。中国では、この時季に豚汁のように栄養豊富な薬膳をとると腎臓が強くなりますので「立春からの数カ月は病気にならない」と言われています。
日本人は長芋をすりおろした「とろろ」が大好きで、麺やご飯にかけて食べます。
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栄養学から見ても、長芋(ヤマイモ類)にはタンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、ブドウ糖、10数種のアミノ酸と10数種の微量元素、およびその他数え切れない種類のミネラルが豊富に含まれています。
長芋は、まさに人体の陰陽を調和させる「妙薬」と言えるでしょう。
(文・白玉熙/翻訳編集・鳥飼聡)
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