2923個のレモンから作られた世界最強のフルーツ電池

果物の酸化還元反応によって生じる電位差を利用して、発電することができます。フルーツ電池の実験をしたことがある人も多いでしょう。英国の科学者グループは最近、2923個のレモンを使って、ギネス世界記録(キングスワールドレコードとも呼ばれる)の電圧を発生させる電池を作りました。

ギネスワールドレコーズのウェブサイトによると、2021年10月15日にマンチェスターに集まった英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)の科学者たちは、2923個のレモンを切り分け、それぞれのレモンの側面に亜鉛板と銅板を差し込み、それらをすべてリードで繋ぎ合わせて巨大な電池を作り出したといいます。

この電池は2307.8ボルトの電気を発生し、これまでのフルーツ電池の最高電圧記録である1521ボルトを更新しました。

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この世界記録達成の様子は「Sky News」で放映され、エネルギー貯蔵の重要性と、二酸化炭素排出量ゼロという目標達成のための革新的な発明の必要性が強調されました。

二酸化炭素排出量の削減と気候変動問題への取り組みは、今日の世界最大の課題の一つであり、電池の利用は二酸化炭素排出量の削減において重要な役割を担っています。

参加したバース大学材料化学部のサイフル・イスラム教授によると、この電池では、レモン汁が電解質として働き、亜鉛板と銅板が2つの電極として作用するそうです。

レモンの汁によって、亜鉛から銅にイオンが流れ、電流が発生するのだとイスラム教授は説明しました。そしてすべてのレモンを直列につないで電圧計に接続し、その合計電圧を測定しました。

この実験の最後に、使用済みのレモンは、廃棄物リサイクル会社「リフード」によって処理されました。同社は、廃棄された食品から再生可能エネルギーを生成し、英国の全国電力網に直接供給しています。
発電後に残ったカスはバイオ肥料となり、地元の農園で利用されたとのことです。

(翻訳・里見雨禾)