中国の唐の時代に、山河に隠居していた人が善行を行い、虎から恩返しを受けました。画像はイメージ写真です。(Shutterstock)

【ものがたり】 虎の恩返し

「善」は美徳であり、プラスエネルギーの循環をもたらします。人々を感動させ、天地万物も感動させます。ここで、中国の唐の時代に、山河に隠居していた人が善行を行い、虎から恩返しを受けたお話をしましょう。

中国の山東省イ坊市の北には海を一望できる高台があり、秦の始皇帝もここで海を観察したと言われてきました。この高台の下には湖があって、この湖畔に張魚舟という者が草庵を建て、釣りをして隠居生活を送っていました。

ある日の夜中、この張魚舟の草庵に一匹の虎が現れました。しかし虎は寝ている張魚舟を襲うことなく、近くに伏せて、夜が明けるまで静かに待っていました。翌朝、張魚舟が目覚めると、目の前に虎がいるので、とても驚きました。

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