漢方医学では「腎は先天の本(もと)」と言います。
先天とは「生まれつき備わっている特性」を意味します。これに対して、後天は「人間が誕生した後に身につけていくこと」を指します。
漢方の「腎」は範囲が広い
漢方であつかう全て養生法のなかで、腎(腎臓)の養生は重要な一環とされています。
一方、日常の動作によって「腎臓を養う(腎臓機能を良好に保つ)」ことが簡単にできるのです。
腎臓は腰部脊柱の両側に位置し、左右に一つずつあります。
その腎臓を養うには、まず漢方医学の「腎」とは何かを理解しなければなりません。
漢方医学における腎とは、単独の臓器としての腎臓を指すだけではありません。
腎臓の機能は、西洋医学では「血中の老廃物を濾過して排出すること」に限定されますが、漢方医学においては、成長・発育・生殖などに関係する泌尿器・生殖器・腎臓などを総合した、重要かつ幅広い機能を「腎」と呼んでいます。
腎を養う「4つの方法」
以下に、4つの簡単な養腎法(腎臓の状態を改善する方法)をご紹介しましょう。
1、唾液を飲む
唾液は昔から「金津玉液」と見なされています。唾液を飲み込むことで、腎臓の精を養うことができるのです。
朝起きたらベッドの上に座り、数分間「舌を口蓋に当てる」をしてみてください。口の中が唾液でいっぱいになったら、その唾液でうがいをして、ゆっくり飲み込みます。
食事の時にも、食物をよく噛んで、ゆっくり飲み込むようにします。一口ごとに、少なくとも30回噛んでから飲み込むと、唾液によって消化が助けられ、よく腎臓の精を補います。
2、腹式呼吸法
漢方では、腎臓の重要な機能について「腎主納気」と言われます。腎臓は、体外から肺へ吸い込んだ自然界の清気を吸収するとともに、吸気の深さを保持して、呼吸が浅くなることを防ぐ作用を発揮するのです。
腹式呼吸法によって、肺気を上から下へおろし、腎臓に至るまで沈ませます。
効果的な腹式呼吸法には、次のようなコツがあります。
呼吸は深く長く、ゆっくりと、鼻から吸って、口から吐きます。1回の呼吸は15秒くらいで、3~5秒かけて深くお腹に入れるように空気を吸い、 そこで1秒間息を止めます。
次にゆっくり息を吐き、体内の空気を完全に出し切ります。
この腹式呼吸を1回あたり5~15分。可能ならば、30分行うのがベストです。
3、湧泉(ゆうせん)のツボ押し
湧泉の穴(ツボ)は足裏の、足の指を折り曲げたときに最も陥没するところにあります。
万能ツボと言われる湧泉を、手の親指で押したり、摩擦したりすることで、全身に良い効果が得られますが、腎臓の機能を活性化することにも役立ちます。
4、腎兪(じんゆ)のツボ押し
腎兪のツボは、腰の背骨から指2本分外側の左右にあります。
自分で両手を後ろに回したとき、ちょうど親指が当たる場所がこのツボです。
このツボを親指で押す、または親指以外の4指で摩擦することで腎臓の機能を改善することができます。
(文・吳國斌/翻訳編集・鳥飼聡)
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