【古典の味わい】貞観政要 20
(魏徴の上書、続き)
「ですので、君主たるものは、以下の十のことがらについて、心に留めることが肝要でございます。まず、欲しいものを見ても知足(足るを知る)を忘れず、自ら戒めるようにすること。造営しようとするときには、民を疲弊させず、安んずることを思うこと」
「高くて危ういことを心に思うときは、謙遜して自己を慎むこと。満ち溢れることを思うときは、江や海があらゆる川よりも低い場所に位置している事実に思い至ること。狩猟などで遊び楽しみたいときは、三駆を限度とすること」
「怠惰な心が出て、なまけたいと思うようなときは、始を慎み、終を敬することを守って、最後まで完遂すること。君主の耳目を覆い隠す者があることを懸念するならば、虚心に臣下の言を聞き入れるよう努めること。讒言する邪悪な臣があるのを恐れるときは、君主みずから身を正しくして、悪を斥けること」
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