うつ病や不安神経症は新世紀の最初の1年間だけで25%も増加し、抗うつ剤の使用も一般的になっています。 [1] しかし、抗うつ剤には予期せぬリスクがあることが研究で明らかにされています。
うつ病が蔓延!抗うつ薬の作用は?
WHOの統計によると、世界では成人の20人に1人がうつ病だと言われています。 [2]
1960年代に、うつ病は脳内のセロトニン不足が原因であることが発見されました。セロトニンは人間の「幸福因子」であると信じられていましたが、実はセロトニンとは、神経伝達物質の一種です。シナプス前細胞はセロトニンを放出し、また再吸収して脳に戻し、恒常性を維持することができます。
抗うつ薬は、このセロトニンの「リサイクル」経路を遮断すれば、体液中のセロトニン濃度が高まり、症状が緩和されるという大雑把な理解で設計されてきたのです。
最も一般的なクラスの抗うつ薬の主な作用機序は、セロトニンやその他の神経伝達物質のリサイクルを調節することでした。例えば、選択的セロトニン再利用阻害剤(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害(SNRI)等が挙げられます。
様々な選択肢があるように見えますが、これらの薬はすべて似たようなメカニズムで作用しています。現在の抗うつ剤はメカニズムに大きな欠陥があるにもかかわらず、大量に使用されているのです。
成人の13%が抗うつ剤の大量使用
うつ病になる理由や重症度は人それぞれであり、薬の使用はより総合的に考える必要があります。しかし、鎮痛剤と同じように抗うつ剤を処方し、効果が薄れてから増量する医師が多く、結果的に乱用につながっていました。
CDCによると、米国では成人の13%、成人女性の18%が過去30日間に抗うつ薬を服用したことがあるとされています[3]。これはとても驚くべき数字です。
また、抗うつ薬を使用する年齢層が急速に拡大しています。以前は成人がよく飲んでいましたが、現在は13〜19歳のティーンエイジャーがかなり多く飲んでいるようです。
10代は成長とともに情緒が不安定になりやすく、情緒的な問題の兆候があるとすぐに薬を飲みます。その結果、「成長過程を乗り越えて行くにはどうすべきか、情緒的にどのように成熟するか、または家族や友人など他の誰かに助けを求めるべきか」といったことを考えずに、薬に依存する可能性があります。
(つづく)
(翻訳・香原 咲)
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